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日本最大の湖・琵琶湖を抱える滋賀県は、伊吹山・鈴鹿山・比良山など周囲を山に囲まれた土地。水資源が豊かであることから、稲作にも適しており、良い水と良い米がそろう土地です。
そのため、古くから酒造りが続いており、歴史ある酒蔵も多く存在します。
地酒需要を伸ばす取り組みも積極的に行っており、地元の日本酒に並々ならぬ愛情を注いでいる地域です。
今回は滋賀県の日本酒について、その特徴や選び方のポイント、おすすめのお酒を20本ご紹介。同じ近畿では京都や兵庫のお酒が有名ですが、滋賀にも魅力的な日本酒がたくさん存在しています。
Contents
滋賀の日本酒の特徴
滋賀県で日本酒を造っている酒蔵は琵琶湖の周辺と大津・草津市内、そして忍者の里としても知られる甲賀などにあります。
他県の陰に隠れがちな印象もありますが、古くから米作りが盛んであり、山々からの地下水にも恵まれた地域です。よい米とよい水がそろえば、自然と酒造りも盛んになり、江戸時代から続く酒蔵も数多く存在します。
2015年には「近江の地酒でもてなし、その普及を促進する条例」も施行され、県をあげての地酒への取り組みが特徴として強く出ています。
造られている日本酒は、昔ながらの製法を大切にした定番のお酒もあれば、若手蔵元による新しい取り組みとして個性的なお酒もあり、多様性を見せています。
流通量が少なく、地元でのみ消費されているようなお酒も多いので、なかなかお目にかかれない銘柄もありますが、滋賀県に訪れた際はお土産として購入したい日本酒がたくさんあります。
滋賀地酒10,000人乾杯プロジェクト
日本酒の日である10月1日頃に毎年企画されるイベントで、その名の通り滋賀の地酒で1万人が乾杯するというもの。
乾杯の発声に三日月知事を招くなど、地酒の需要を伸ばす取り組みとして、県をあげて取り組んでいる様子がうかがえます。
このプロジェクトでは日本酒の日の乾杯企画だけでなく、滋賀酒をブラインドで味わって好みのものに投票する「みんなで選ぶ滋賀の地酒会」も開催しており、地元の酒蔵が味わいだけで真っ向勝負する場になっています。
また、2021年には滋賀の日本酒を使ったカクテルコンペクションも開催され、日本酒の楽しみ方を広げ、需要を増やす取り組みになっています。
日本酒の選び方のポイント
滋賀県の酒蔵は契約農家に依頼し、地元で作られた米を使う蔵も多いので、お酒選びの際は酒米に注目したいところです。なかには酒蔵の自社田でも米作りをしているなど、地産地消へのこだわりも強くあらわれているといえるでしょう。
滋賀県の酒米・吟吹雪(ぎんふぶき)
滋賀県のみで栽培されている酒米「吟吹雪(ぎんふぶき)」は、山田錦と玉栄を交配させ、1998年に滋賀県で誕生しました。
玉栄(たまさかえ)も滋賀県で多く栽培されている酒米で、収穫量が多いという特徴があります。また、デンプンを多く含む「心白」が発生しにくいため、香り豊かな吟醸酒よりは、キレある辛口のお酒が造りやすいとされています。
山田錦は日本酒造りに最適な条件がそろう、酒米の優等生ともいえる存在であり、日本全国で使われている酒米なのですが、育てにくいという弱点を持っています。
そんな山田錦の育てにくさをカバーするため、玉栄と交配させ、両者の長所が活きた滋賀県オリジナルの酒米が誕生。山田錦と比べても遜色ない酒造りに適した条件を持つ、収穫しやすい酒米として、今や滋賀の多くの酒蔵で使われています。
滋賀県の日本酒を選ぶ際は、「吟吹雪」で造られたものにも注目してみましょう。
滋賀の日本酒おすすめ5選【甘口】
滋賀の日本酒から、甘口のものに注目して紹介していきます。ひと言に甘口といっても、濃厚な甘さや奥深い味の甘さなど、多種多様。最近需要が高まっている、低アルコールな甘口の日本酒も登場しています。
松の司 純米吟醸
引用先:松の司 純米吟醸|かねなか酒店
醸造元 | 松瀬酒造 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度数 | 16度 |
使用する酒米は契約栽培にこだわるなど、土地の恵みに感謝して酒造りを行う松瀬酒造の代表銘柄「松の司」。この名前は、かつて自宅の庭にあった樹齢200年を超える松の木と、創業者の名字にある「松」をかけ、勇壮な姿をあらわす言葉「司」に由来します。
「松の司」シリーズのなかでも、ミドルクラス純米吟醸の定番であるこのお酒は、ほんのりとしたメロン系の香りで、甘味のなかに旨味や渋みも感じられる味わい。味のバランスがよいので、さまざまなシチュエーションで合わせやすくなっています。
七本鎗 純米シェリー 樽熟成
七本鎗 純米シェリー 樽熟成
醸造元 | 冨田酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 15度 |
「七本槍」を醸す冨田酒造は、琵琶湖最北端の賤ケ岳山麓にある歴史ある酒蔵。代表銘柄「七本鎗」の名称は、賤ヶ岳の戦いにて豊臣秀吉を勝利に導いた7人の武者に由来し、米の旨味としっかりとした酸のある味わいです。
この「七本鎗 純米シェリー 樽熟成」は、スペインから輸入したシェリー樽で熟成させた純米酒。シェリーの甘やかな香りに純米酒の旨味が溶け合った、新しい味わいが楽しめます。
チョコレートやナッツとの相性もよく、洋酒を好む方にも試してほしい日本酒です。
しっぽ mifuku スパークリング
引用先:美冨久酒造株式会社
醸造元 | 美冨久酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 8度 |
美冨久酒造は、同じ滋賀の蔵元・藤居本家から独立した、甲賀市水口にある酒蔵です。
代表銘柄には米の旨味を引き出し、幅広い温度帯で楽しめる「美冨久」や、フレッシュな飲み口の「三連星」がありますが、新ジャンルとして「しっぽ mifuku スパークリング」も造っています。
動物のしっぽをデザインしたラベルが可愛らしく、瓶内二次発酵による炭酸が弾ける低アルコールな日本酒は、シャンパンのように飲めます。チーズディップとクラッカーのおつまみがよく合います。
大治郎 生酛純米 吟吹雪
引用先:酒ストリート株式会社
醸造元 | 畑酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 17度 |
原料にこだわり、酒米はすべて地元農家で契約栽培するだけでなく、自社田での酒米作りにも取り組む畑酒造。代表銘柄「大治郎」は創業者の名前に由来します。
吟吹雪を使った「大治郎 生酛純米」は、まろやかな口当たりに、しっかりとした酸味を感じるお酒です。優しい甘さで後味はスッキリしているので、濃い味付けや揚げ物とも合わせやすくなっています。
鈴正宗 Good morning 無濾過原酒生詰
引用先:矢尾酒造株式会社
醸造元 | 矢尾酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 16度 |
矢尾酒造は現在の蔵元が元DJという異色の経歴を持っているなど、チャレンジ精神を感じさせる酒蔵。「鈴正宗」は一見、日本酒とは思えないラベルデザインが目を引きます。
「鈴正宗 Good morning 無濾過原酒生詰」は、トウモロコシを思わせるような優しい甘口をコンセプトにしています。甘味が強すぎないので飲みやすく、甘口を倦厭している人も試してほしい日本酒です。
滋賀の日本酒おすすめ5選【辛口】
続いて、滋賀の辛口な日本酒を5つご紹介。辛口にも多様なタイプがあり、スッキリしながらも味わい深いものや、強い味付けの料理にも負けない旨味あるものなどさまざまです。
不老泉 山廃純米 参年熟成原酒
醸造元 | 上原酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 17度以上18度未満 |
仕込みに使っている井戸水が軟水の上原酒造では、山廃による酒造りにこだわっています。山廃仕込みでは乳酸菌や酵母を添加せず、天然酵母による発酵となるため、力強くてキレのある味わいになりやすいのが特徴。
そんな山廃純米酒を3年熟成させており、力強い味わいが楽しめるやや辛口のお酒に仕上がっています。熟成により黄みがかかり、カラメルのような風味もあるので、肉料理など濃い味付けにも負けない日本酒です。
喜楽長 辛口純米吟醸
醸造元 | 喜多酒造 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度数 | 17度以上18度未満 |
代表銘柄「喜楽長」を醸す喜多酒造は、2020年に創業200年を迎えた東近江市の酒蔵です。
この辛口純米吟醸は旨味ある辛口のお酒を求め造られており、口に含むと米の旨味に辛口の余韻が広がります。ただ辛口なだけではない、奥深い味わいは、料理とお酒がすすむ日本酒です。
次期蔵元となる予定の喜多麻優子さんは、酒蔵の娘視点の日本酒入門書「蔵元の娘と楽しむ 日本酒入門」を執筆するなど、新しい取り組みもされています。
唯々 純米吟醸 吟吹雪
醸造元 | 竹内酒造 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度数 | 15度 |
地元のお米にこだわって造られた「唯々 純米吟醸 吟吹雪」は、控えめな香りで食中酒として美味しくいただけます。やや辛口の味わいは料理に合わせやすく、食がすすむ味わいです。
また、竹内酒造は大阪梅田に直営店を営業。立飲み割烹竹内酒造では、立飲みとは思えないハイクオリティな料理とともに、格安で日本酒が提供されています。
浪乃音 ええとこどり 純米超辛口
醸造元 | 浪乃音酒造 |
精米歩合 | 65% |
アルコール度数 | 18度 |
浪乃音酒造は、琵琶湖のほとりにある小さな酒蔵で、丁寧な酒造りをしています。「古壷新酒(ここしんしゅ)」を掲げ、伝統を守りながら新しいことにもチャレンジするなど、小さな蔵だからこそできることをされています。
「浪乃音 ええとこどり 純米超辛口」は、辛口のなかにまろやかな旨味も含み、最後にはキレ味もある、味わい深い日本酒です。
吟醸酒 春乃峰(黒ラベル)
吟醸酒 春乃峰(黒ラベル)
醸造元 | 田中酒造 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度数 | 16度以上17度未満 |
代表銘柄「春乃峰」を醸す田中酒造は、甲賀市にある家族経営の小さな酒蔵です。
クラウドファンディングを企画したり、毛筆が得意な蔵元の奥様が世界に1つだけのオリジナルラベルを描くサービスをされたりと、新しいことにも挑戦されています。
この「吟醸酒 春乃峰(黒ラベル)」は、あっさりとしたやや辛口の日本酒で、一夏越して秋に味わいがよくなる「秋上がり」するタイプです。
滋賀の日本酒おすすめ5選【フルーティー】
つづいて、滋賀のフルーティーな日本酒をご紹介。日本酒が苦手な人も飲みやすい、口当たりの軽いものも多く、日本酒入門としてもおすすめしたいお酒です。
萩乃露 氷温貯蔵 純米吟醸
醸造元 | 福井弥平商店 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 15度 |
「酔うための酒ではなく、味わうための酒を」を信条とし、味わい深くスッキリとしたお酒を醸す福井弥平商店の「萩乃露」。
この「氷温貯蔵 純米吟醸」は、華やかな吟醸酒に軽快なキレ味が楽しめる、爽やかなお酒です。氷温貯蔵だからこそのフレッシュさも感じられ、冷やして飲むのがおすすめです。
香の泉 太陽と大地のしずく
醸造元 | 竹内酒造 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度数 | 15.8度 |
「香の泉 太陽と大地のしずく」は、自然の恵みをいっぱい受けて育った、滋賀県産の吟吹雪で造られた日本酒です。
フルーティーな吟醸香が楽しめ、米の旨味も感じられます。飲み口はスッキリしているので、食中酒としてもおすすめ。
「みんなで選ぶ滋賀の地酒会」での受賞歴もあり、特別感あるボトルデザインながらお値段も手頃なので、ちょっとしたギフトにも使えそうなお酒です。
貴醸酒 モンスーン 吟吹雪
醸造元 | 笑四季酒造 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度数 | 17度 |
笑四季酒造の代表銘柄「モンスーン」は、個性あふれるラベルデザインが目を引く貴醸酒。「みんなで選ぶ滋賀の地酒会」では2017年・2018年と2年連続で知事賞を取るなど、美味しさも折り紙付きです。
濃厚な甘さに、南国フルーツのような香りで、味わいは華やか。それでいてコクもあり、甘ったるくなく、ほのかな酸味が味を引き締めています。
ヨキトギ 純米吟醸生原酒 あらばしり
引用先:吉田酒造有限会社
醸造元 | 吉田酒造 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度数 | 17度 |
北陸と京都を結ぶ要所として、米や海産物を運ぶ琵琶湖の海運業で栄えた地域にある古田酒造。地元に愛される銘柄「竹生島」のほか、旬の味と合わせたい、季節ごとの限定酒も造っています。
この「ヨキトギ 純米吟醸生原酒 あらばしり」は、搾りの行程で最初に出てきた部分を集めた生原酒。発酵が残っているためほのかな炭酸が感じられ、酸味のあるフルーティーな味わいです。
一博 純米生酒
引用先:近江の地酒 はしもとや
醸造元 | 中澤酒造 |
精米歩合 | 60% |
アルコール度数 | 16度以上17度未満 |
中澤酒造は日本酒の消費低迷をうけ、2000年に休業した酒蔵ですが、畑酒造で修行した現在の蔵元・中沢洋一さんが再興。畑酒造で間借りして酒作りをスタートし、2015年より自社の酒造りを再開させた酒蔵です。
ちなみに間借りされていた2015年までは「一博」の「博」を点なし表記にされており、自社製造に移られてから「博」を点ありにされたというのは豆知識。
そんな中澤酒造の「一博 純米生酒」は、生酒らしいフレッシュさが感じられ、フルーティーな日本酒です。日本酒が苦手という方にも飲みやすい、甘味と旨味をバランスよく含んだ味わいになっています。
滋賀の日本酒おすすめ5選【高級】
特別な日に飲みたい日本酒や、贈り物におすすめの滋賀の高級な日本酒5選。いずれも手間暇かけて造られており、大切な場面を彩ってくれます。
松の花 純米大吟醸 蒔絵ボトル
引用先:川島酒造株式会社
醸造元 | 川島酒造 |
精米歩合 | 40% |
アルコール度数 | 16度以上17度未満 |
酒蔵建設のため、やむなく伐採した松の古木をしのび、代表銘柄に「松の花」と名付けた川島酒造。滋賀県北部の高島市で酒造りをされています。
「この松の花 純米大吟醸 蒔絵ボトル」は、伝統技術である漆工芸のひとつ「蒔絵」をイメージした、格調高いボトルに入った高級酒。おしゃれなボトルは贈り物にぴったりで、特別な純米大吟醸酒が詰められています。
洗練された純米代吟醸酒が味わえ、デザイン性から目でも楽しめるお酒になっています。
七本鎗 純米大吟醸 山田錦 雫取り
引用先:株式会社 鍵や 酒専門店鍵や
醸造元 | 冨田酒造 |
精米歩合 | 35% |
アルコール度数 | 15度 |
冨田酒造の高級酒「七本鎗 純米大吟醸 山田錦 雫取り」は、滋賀県産の山田錦を使い、35%まで磨いて造った贅沢な日本酒。
搾りの行程も圧力をかけない雫取りを採用しており、雑味なく、なめらかな口当たりと繊細な味わいに仕上がっています。
木箱入りなので特別なギフトにもぴったりです。
萩乃露 純米大吟醸 至福
醸造元 | 福井弥平商店 |
精米歩合 | 40% |
アルコール度数 | 17度 |
「至福」は香りが料理の味を邪魔しない、食事とともに楽しめる日本酒をと考えて、「全国新酒鑑評会」に出品されている萩乃露の純米代吟醸酒。2020年にリニューアルし、美味しさに磨きがかかりました。
澄み切った吟醸香にまろやかな味わいが楽しめ、まさに至高の逸品。香りを抑え、出汁をきかせた和食にも合う味です。
旭日 福 純米大吟醸
醸造元 | 藤居本家 |
精米歩合 | 40% |
アルコール度数 | 15度 |
新嘗祭の御神酒(白酒)を献上されてきた酒蔵・藤居本家の代表銘柄「旭日」は、勢いがよく栄えることを意味する「旭日昇天」に由来します。
そんな縁起のよい始まりをイメージさせる「旭日」のなかでも、「旭日 福 純米大吟醸」は少量生産される貴重なお酒。農法にもこだわった滋賀県産の山田錦を使い、丁寧に造られています。
スッキリとしたやや甘口の味わいで、飲みやすいお酒です。
喜楽長 純米大吟醸 愛おし
醸造元 | 喜多酒造 |
精米歩合 | 40% |
アルコール度数 | 17度 |
喜多酒造では醸す日本酒は我が子のような存在として、愛情を持って造られていますが、なかでも「喜楽長 純米大吟醸 愛おし」は、子どもを育てるかのように慈しんで造られた、プレゼントにもピッタリの日本酒。
旨味と甘味が感じられ、奥行きある味わいで、低温貯蔵によって生まれたやわらかな酸味も感じられます。
姉妹品「喜楽長 大吟醸 敬いし」とセットにして送るのもおすすめです。
滋賀の日本酒を存分に堪能しよう
豊かな水と米作りによって、古くから酒造りが続いてきた滋賀県。地元の酒米にこだわって酒造りをしている蔵も多く、県をあげての地酒を推進する取り組みも行われるなど、日本酒への愛があふれる地域といえるでしょう。
家族経営の小さな酒蔵も多く、他県ではなかなか手に入らない銘柄も存在します。
ネット通販を展開している酒蔵もあるので、お取り寄せして自宅で楽しむのもおすすめです。
造り手のこだわりが詰まった日本酒を、ぜひご賞味ください。
各地の日本酒をもっと知ろう
以下の記事では関東各地のおすすめの銘柄を紹介していますので、併せて御覧ください。
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