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特別本醸造酒とは|特徴やおすすめの特別本醸造酒を紹介!
日本酒には、吟醸酒や純米酒、本醸造酒などの様々な名称があります。日頃から日本酒を嗜む人は、これらの名称を見聞きしたこともあるでしょう。これは特定名称と呼ばれ、これを表示するための条件が「清酒の製法品質表示基準」で定められています。
今回はその中の「特別本醸造酒」についてご紹介します。純米大吟醸酒や特別純米酒などの他の特定名称との違いから、おすすめの特別本醸造酒まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
特別本醸造酒とは
特別本醸造酒は、原料・精米歩合・醸造アルコールなどの特別な条件が定められています。「特別本醸造酒」という特定名称を表示するためには、下記の条件を満たさなければなりません。
- 原料:米、米こうじ、醸造アルコール、水
- 精米歩合:60パーセント以下 または特別な製造方法(要説明表示)
- こうじ米使用歩合:15パーセント以上
- 香味及び色沢が特に良好なもの
以上が主な条件です。さらに特定名称酒に共通して適用される条件もあります。
- 農産物検査法により、3等以上に格付けされた玄米、またはこれに相当する玄米を精米して使用する。
- 醸造アルコールについては、アルコール分95パーセント換算で、白米重量の10パーセントを超えないものに限る。
- すべての特定名称酒において、精米歩合を原材料名と近接する場所へ1パーセントきざみで表示する。
(引用元 国税庁:「清酒の製法品質表示基準」の概要)
精米歩合が60%以下となる特別本醸造酒は、米の外側部分の雑味の元となる成分を磨いているため雑味のないすっきりとした味わいになります。本醸造酒はまずいというイメージを持っている方は、米の生産量が少ない戦後の時代に、醸造アルコールを大量に足して生産していた頃をイメージされているかもしれません。現在は味わいを飲みやすくすっきりさせる、香りを立たせるといった積極的な目的で少量の醸造アルコールが使用されるケースが多いです。
本醸造酒と特別本醸造酒の違いとは|よくある質問
本醸造酒も特別本醸造酒も旨味や香りを引き立てるため、また品質を維持するために醸造アルコールが添加されているという点は同じです。では両者の違いはどこにあるのでしょうか。
その基準となるものは、原料となる白米の精米歩合です。
- 本醸造酒:精米歩合が70パーセント以下
- 特別本醸造酒:精米歩合が60パーセント以下
特別本醸造酒は精米歩合が低いです。つまり本醸造酒よりも原料の白米を磨いて使用しているため、精米の過程でより雑味が取り除かれます。そのため一般的には本醸造酒よりも特別本醸造酒の方が高級であり、風味も豊かであるとされています。
ただし例外として、精米歩合が60パーセントを超えていても、特別な製法で製造されている場合は特別本醸造酒に分類されることもあるようです。
日本酒の種類については日本酒の種類とは「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」の違いを解説!を御覧ください。
特別本醸造酒の香りや味わいの特徴
特別本醸造酒は、すっきりとした味わい、淡麗な味わいが特徴であるとされています。本醸造酒よりも、よりすっきりとした飲み口です。
特別本醸造酒や本醸造酒の特徴であるキレのある味わいは、トウモロコシやサトウキビ、白米などを原料とした醸造アルコールによるものです。アルコールを添加していると聞くと、体に悪い食品添加物なのではないか、お酒を薄めているのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし醸造アルコールは体に悪いといわれる添加物の類ではありませんし、特別本醸造酒や本醸造酒ならではの味わいを作るのに欠かせないものです。
特別本醸造酒のおすすめの飲み方
日本酒は、色々な温度で楽しむことができる魅力的なお酒です。温度によって味わいが大きく変わります。冷やすと香りが引き締まり爽やかに、一方で温めると、まろやかさや香りを感じやすいです。そして特別本醸造酒はキレと爽快感を味わうために、冷やして飲むことをおすすめします。飲み口が引き締まって、繊細に感じられます。甘味や旨味は軽やかになり、スッキリとした味わいになるはずです。同じ銘柄飲んだとしても温度の変化で味わいが変わります。自分好みの美味しく感じる温度を探ってみましょう。
特別本醸造酒の選び方
特別本醸造酒の選び方には、酒米、価格、製法の違い、酒蔵がどこの産地であるか、創業が古いか新しいか、味わいが辛口か甘口かどうか、などさまざまな基準があります。ここでは、特別本醸造酒の選び方を4つご紹介します。
酒米の種類で選ぶ
酒米とは、「さかまい」と呼び、一般的な飯米とは大きく異なります。酒米の中心にある「心白(しんぱく)」と呼ばれる白色不透明の部分が飯米と比べて大きいので、米麹が育ちやすくアルコール発酵が進みやすいといった性質があります。またタンパク質や脂質が少なく、粒が大きくて丈夫です。
代表的な酒米には、「山田錦」「五百万石」「美山錦」「雄町」などがあります。酒米によって味わいが大きく変わりますので、日本酒を選ぶ際には、酒米を調べてみることをおすすめします。
- 山田錦:酒米の王様とも評されており、酒米といえば山田錦といってもよいくらい有名な品種です。1923年、兵庫県において「短稈渡船」「山田穂」の交配により誕生しました。全国で最多生産を誇る酒米で、生産量の半分以上は兵庫県で作られています。そのため山田錦を酒米として使用した場合の日本酒の味わいは、雑味が出にくいお酒になります。
- 五百万石:米どころとしてとても有名な新潟で1938年に生まれた酒米です。山田錦と並び評価される知名度の品種です。現在も北陸地方を中心に生産されています。五百万石という名前は、新潟県の米の生産量が五百万石を突破したことが由来になっています。山田錦は一般的にはたんぱく質の含有量が少ないです。五百万石でつくられた日本酒は、すっきりとした味わいになる傾向があります。
- 美山錦:1978年に「たかね錦」の突然変異により誕生した品種で、主に長野県で栽培されています。北アルプスの雪のような美しさを持つ心白から「美山」と名付けられました。美山錦は寒さにとても強い品種で、長野県以外では、東北地方などの山間部、寒冷地で生産されています。こちらの酒米を使用した日本酒の味わいも、一般的には五百万石と似た味わいで、なめらかですっきりとしたものになります。
- 雄町:雄町は江戸時代に生まれた、日本最古の品種とされている酒米です。山田錦や五百万石など現存の酒米の半数以上が雄町のDNAを受け継いでいるといわれています。一時は栽培が困難であることが理由で絶滅の危機に瀕していましたが、近年の酒造メーカーの努力で復活しています。この雄町は、一般的には日本酒の味に米の旨味や甘味を感じさせる酒米です。立体的な味わいを楽しめます。
産地で選ぶ
日本酒は産地によっても大きく異なります。例外はありますが、一般的には寒い地域は辛口、暖かい地域は甘口の日本酒が多くなる傾向があるようです。
今回は北海道 / 東北地方 / 近畿地方の日本酒の特徴をまとめてご紹介します。
北海道(淡麗辛口):北海道は夏は涼しく冬は寒い環境です。酒造りにとても適しており、この地域の日本酒はやや淡麗辛口になります。
東北地方(淡麗辛口 / 淡麗甘口 / 濃醇甘口):豊かな穀倉地帯である東北は伏流水にも恵まれています。福島、秋田、宮城、山形では淡麗辛口、青森では淡麗甘口、岩手では濃醇甘口が特徴です。
近畿地方(淡麗辛口 / 濃醇辛口 / 濃醇甘口):最高級の酒米である、山田錦の産地である兵庫県灘地区や京都伏見は日本を代表する銘醸地です。大阪は淡麗辛口、兵庫は濃醇辛口、京都・滋賀・三重・奈良・和歌山などの地域では濃醇甘口となっています。
味わいと香りで選ぶ
香りと味わいで選ぶというのが、好きな日本酒に出会える近道かもしれません。日本酒の香りは多種多様で、フルーティー、華やか、爽やか、ふくよか、熟成感といったさまざまな表現があります。バナナやライチなどの果物で表現されたり、梅の花や、レモンなどの言葉で表現されることもあります。またつきたての餅や、ナッツなど深みのある香りや重厚な香りで表現することも。味についても軽快感や、コク、すっきり、さっぱりなどさまざまな味わいがあります。
特別本醸造酒は雑味が少なく、クリアな味わいがベースです。そのなかで銘柄によって味わいは大きく異なります。たとえば、八海山は軽快な味わいで、朝日鷹はフルーティでありアルコールを感じさせません。どのような味わいと香りが好みか、ぜひ飲み比べてみてください。
製法で選ぶ
特別本醸造酒を選ぶなら、日本酒のラベルにある精米歩合の欄の「特別な製造方法」にも注目してみましょう。低温でじっくりと発酵させる製法や、ある品種の酒米だけを100パーセント使用しているなど、酒蔵ごとで製法が大きく異なります。特別な製造方法はラベルなどに記載されていますので、蔵ごとのこだわりの製法を確認してみてください。
おすすめの特別本醸造酒5選
特別本醸造酒についてお伝えしてきましたが、最後におすすめの特別本醸造酒を5つご紹介します。
どれもとてもおいしい日本酒なので、ぜひ一度飲んでみて、お気に入りの日本酒を見つけてください。
八海醸造 八海山
精米歩合は55パーセントであり、よく磨かれた日本酒です。原材料の酒米は主に、五百万石とトドロキアワセを使用しています。珍しい酒米です。味わいはさっぱりして爽やかになります。軽快な味わいで、香りは少しだけ強いです。冷やしても温めても飲めますが、やはり冷やして飲むことをおすすめします。
高木酒造 十四代 朝日鷹
山形県にある高木酒造で作られた特別本醸造酒です。さっぱりしているのにも関わらず、味わいがしっかりしているのが特徴です。フルーティでありアルコールを感じさせない飲み口となっています。精米歩合55パーセントです。この日本酒が流通している場所は山形県のみです。
新澤醸造 愛宕の松
「この味で、この価格?」と言われるくらいにコストパフォーマンスが良く、おいしい特別本醸造酒です。また世界的なお酒のコンテスト(IWC Sake Brewery of the Year 2022 )では最も優れたコストパフォーマンスを発揮したお酒として選ばれました。精米歩合は60パーセントで、使用米は山田錦です。バナナのような穏やかな含み香があり、キレ味も抜群です。
菊正宗酒造 菊正宗 嘉宝蔵 極上
兵庫県産の辛口であり、やや淡麗の日本酒。山田錦を100パーセント使用した特別本醸造酒です。精米歩合は60パーセントです。味わいは深い押し味の余韻とキレ味があります。
清都酒造場 勝駒
富山県で一番小さな蔵である清都酒造場が作った定番酒です。ほのかな柑橘系の香りとキレのある爽快さが特徴の高品質な特別本醸造酒です。酒米は富山県産五百万石を100パーセント使用しています。精米歩合は55パーセントです。いわゆる小さい酒蔵ブームの火付け役的な存在です。
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