本醸造酒とは|うまい飲み方やおすすめ銘柄を紹介

本醸造酒とはおすすめ銘柄を紹介

本醸造酒|うまい飲み方やおすすめ銘柄を紹介

日本酒は同じ銘柄の中でも、製法や原料の違いによって「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」など異なる名称(特定名称)が存在します。そのため、わかりづらい、選ぶのが難しいという印象を持つ日本酒初心者も少なくないでしょう。

こちらの記事では本醸造酒の香りや味わいの特徴、おすすめの飲み方などを日本酒専門サイトが詳しく紹介します。

それぞれの特徴を知ることで、好みの日本酒を見つけやすくなります。「本醸造酒について深く知りたい」「おすすめの本醸造酒の銘柄や飲み方を知りたい」という方はぜひ参考になさってください。

本醸造酒とは?

本醸造酒は、「米・米こうじ・醸造アルコール」を原料とし、スッキリとしたキレのある辛口が特徴の日本酒です。

原料・表記する条件

国税庁により、本醸造酒には以下の条件が定められています。

原料 ・米

・米こうじ

・醸造アルコール

精米歩合 70%以下
こうじ米使用割合 15%以上
香味などの要件 香味、色沢が良好

引用元:国税庁「清酒の製法品質表示基準」の概要

原料の「醸造アルコール」は少なめ

原料となる醸造アルコールとは、主にサトウキビやいも類などから醸造された純度の高いアルコールです。

味や香りはほとんどなく、日本酒に適量を添加すると、キレのある「スッキリとした味」となるほか、酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。

ただし醸造アルコールの使用量には制限があります。普通酒に比べて本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は少なめで、白米の重量の10%以下と定められています。

本醸造酒と純米酒・吟醸酒との違い

ここでは本醸造酒と純米酒・吟醸酒との違いを解説します。

純米酒が「米、米こうじ」のみで作られているのに対して、本醸造酒と吟醸酒は醸造アルコールが添加されている点が大きな違いです。醸造アルコールを添加することにより、本醸造酒と吟醸酒ではキレのある味わいを楽しむことができます。一方、純米酒は米本来の旨味やふくよかな香りが特徴です。

また、本醸造酒と吟醸酒は醸造アルコールを添加している点では同じですが、「精米歩合」に違いがあります。

精米歩合とは、玄米から表層部を削って残った米の割合です。米の表層部にあるタンパク質や脂質、でんぷん質などの栄養素は、多すぎると日本酒作りにおいては雑味の原因となります。

本醸造酒の精米歩合は70%以下、吟醸酒は60%以下です。そのため、本醸造酒に比べて、表層部を多く削って作る吟醸酒は、よりクリアでスッキリとした味わいになる傾向にあります。

さらに、吟醸酒は通常よりも低い温度で長時間発酵させる「吟醸造り」方法によって特徴的なフルーティで華やかな香りが生まれます。

本醸造酒と特別本醸造酒の違い

特別本醸造酒とは、その名の通り、特別な製法で作られる本醸造酒のことです。

原料や添加する醸造アルコールの量は本醸造酒と同じ条件ですが、その他の条件として「精米歩合が60%以下、または特別な製造方法(要説明表示)」と定められています。

「特別な製造方法」には明確な基準はなく、「特定の酒米を100%使用している」「長期低温発酵」など原料や製法にアピールしたいこだわりがあれば、理由を明記することで「特別」と名乗ることができます。そのため、特別本醸造酒には、酒蔵の個性やこだわりが表れたお酒が多いのが特徴です。

本醸造酒の香りや味わい・特徴

本醸造酒の香りや味わいについて、他の特定名称の日本酒と比べながら解説します。

純米酒のような香りと風味

本醸造酒は純米酒に近い香りや風味を持つといわれていますが、純米酒と比べるとより淡麗な味わいのお酒です。

純米酒は「米・米こうじ」のみを原料とするため、醸造アルコールを添加する本醸造酒に比べ、米本来の香りや風味がより楽しめます。

 

味はクセが少なくスッキリとした辛口

醸造アルコール自体は、味や香りはほとんどなく、非常に辛口です。そのため本醸造酒はスッキリとした辛口の味わいに仕上がります。添加する割合は「白米の重量の10%以下」と少ないため、米の旨味をほどよく残しつつ、爽快な後味になり、食中酒に向いています。

 

純米酒・吟醸酒より味はうまい?

前述したように、純米酒は米の旨味がしっかり味わえ、吟醸酒はフルーティーな香りが特徴です。味の好みは人それぞれですが、純米酒や吟醸酒と比べると本醸造酒は、その製法や特徴から、飲む人やシーンを選ばず、幅広く楽しめるお酒といえるでしょう。

本醸造酒をおいしくいただく飲み方

ここからは、本醸造酒のおいしさを引き立てる温度や料理、酒器を紹介します。

本醸造酒の温度は5度前後の冷酒がおすすめ

本醸造酒の特徴である「キレのある辛口」を味わうためには、「雪冷え」と呼ばれる5度前後の冷酒で飲むのがおすすめです。

よく冷やしたお酒は飲み口がよく、すっきりとした味わいを楽しむことができます。

シャーベット状になるほどに冷やしてしまうと、味わいや香りが閉じてしまい、旨味や甘みが感じにくくなるので冷やしすぎには注意してください。

 

冬場は少しぬるい温度のお燗で

寒い時期には、ほんのりあたたかさを感じる35度程度の「人肌燗」や40度程度の「ぬる燗」もおすすめです。

コクや香りが豊かに広がり、やわらかい酸味も感じることができます。銘柄によっておすすめの温度は異なりますが、温度が高くなりすぎると、本醸造酒ならではのスッキリ感が損なわれる・甘みや旨味が感じにくくなるなど、味のバランスが悪くなります。自宅で燗酒を作る時には加熱し過ぎないように気を付けましょう。

 

多種多様な料理・おつまみと相性抜群

本醸造酒はスッキリとした味わいで香りが控え目なため、多種多様な料理と合わせることができます。食中酒に適したお酒といえるでしょう。

キレのある辛口は脂ののったサバなどの焼き魚や、風味の強い酒盗などの料理と特に相性が良いです。

 

ワイングラスで本醸造酒を飲むのもおすすめ

本醸造酒を洋食と合わせる時は、キリッと冷やしてワイングラスで飲むのもいいでしょう。

ワイングラスには「脚(ステム)があるため、手の温度が飲み物に影響しない」また、「底が丸く、口がすぼまった形状で香りを閉じ込める」といったメリットがあります。

本醸造酒の淡麗辛口のおいしさを引き出すなら、口径が狭く、直線的に流れる細長いフルートグラスが特におすすめです。

 

本醸造酒のおすすめ銘柄5選

ここからは、本醸造酒の特徴や魅力をふまえた、おすすめの銘柄5選を紹介します。

一ノ蔵「無鑑査本醸造辛口」

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/mukara

味わい 膨らみのある穏やかな味わい
香り 穏やかで落ち着きのある香り
酒米 国産米
おすすめ用途 日常酒
合うおつまみ・料理 焼き餃子、サーモンのカルパッチョ
おすすめの飲み方 ぬる燗、上燗

宮城県大崎市の酒造「一ノ蔵」では、「級別制度」(平成4年廃止)という日本酒の酒税法上の分類体系が存在していた頃に、良質の清酒を手頃な価格で販売するため、鑑定に出品しない清酒を「一ノ蔵無鑑査」と名付けました。

「無鑑査本醸造辛口」は、添加する醸造アルコールも米から製造されたアルコールのみを使用しているのが特徴です。

720mlで千円を切る手頃な価格で、日常的な晩酌酒としておすすめです。

 

愛宕の松 別仕込本醸造

https://www.sake-kagiya.com/view/item/000000002415?category_page_id=ct101

味わい 軽快でキレがある
香り バナナのような穏やかな含み香
酒米 国産米
おすすめ用途 日常酒
合うおつまみ・料理 刺身や豆腐、薄口のだしを効かせた料理
おすすめの飲み方 冷酒、常温、ぬる燗、上燗

宮城県大崎市の新澤醸造店では、選抜された品質の良い本醸造を「別仕込本醸造」としています。

酒名に「別仕込」と名前が付いているのは、旧蔵の頃、本醸造の仕込みタンクの中でなぜか一つのタンクだけが出来が良く、このタンクで仕込んだものを「別仕込」と呼んだことが始まりです。

シャープでキレのある辛口は、口の中をさっぱりとさせる食中酒として、料理の味を引き立てます。

 

高清水「新酒初しぼり」

https://www.takashimizu.co.jp/product/%e6%96%b0%e9%85%92%e5%88%9d%e3%81%97%e3%81%bc%e3%82%8a-720ml

味わい 濃醇で深い味わい
香り 青草を思わせる若く爽やかな香り
酒米 秋田県産米、他
おすすめ用途 日常酒
合うおつまみ・料理 湯豆腐、天ぷら、出汁巻玉子
おすすめの飲み方 冷や、ロック・水割り

秋田市にある秋田酒類製造の「高清水 新酒初しぼり」は、その年の最初に仕込みしぼった原酒で作る、冬限定のお酒です。

アルコール度数が19度と高いのが特徴で、やや辛口で濃厚なコクの味わいの中に、甘味、旨みが感じられます。秋田のお酒らしく、しょっつる鍋にもよく合います。

 

菊正宗酒造「菊正宗 特撰」

https://www.kikumasamune.co.jp/products/kimoto/092_tokusen_1_8.html

味わい ふくらみのあるコクと旨味
香り おだやか
酒米 国産米
おすすめ用途 日常酒
合うおつまみ・料理 刺身、鍋料理
おすすめの飲み方 常温、熱燗

「菊正宗 特撰」は、丹波杜氏が江戸時代から現代に受け継ぐ伝承の技「生もと造り」でじっくり丁寧に仕込まれています。ほんの少しだけアルコールを添加し、山田錦をはじめとした酒米のふくらみのあるコクと旨味を持ちつつ、すっきりとした味わいに仕上がった辛口本醸造酒です。

お刺身など魚料理と相性が良く、 寒い時期は50度くらいのお燗と鍋料理で体をあたためるのもおすすめです。

 

佐浦「浦霞 本仕込」

https://www.urakasumi.com/items/2014/07/post-1.html

味わい やわらかな味わいと端正なキレ
香り さわやかな香り
酒米 ササニシキ・トヨニシキ
おすすめ用途 日常酒
合うおつまみ・料理 焼き魚、おでん、焼き鳥
おすすめの飲み方 10度〜60度

宮城県にある浦霞醸造の「浦霞 本仕込」は、まろやかな口あたりとキレのよい後味が特徴の本醸造酒。

2022年全国燗酒コンテストの「お値打ちぬる燗部門」で 最高金賞を受賞するなど、数々の受賞歴があるお酒です。

本醸造酒ならではの魅力を存分に感じることができる銘柄のため、「本醸造酒らしさ」を味わいたい方にはまずおすすめの一本です。料理にあわせて幅広い温度でお楽しみいただけます。


本醸造酒を実際に味わおう

本醸造酒は、「米・米こうじ」に醸造アルコールを添加することで、スッキリとキレのある辛口になるのが特徴の日本酒です。

米の旨味やコクが魅力の「純米酒」とはまたひと味違った、「食事に寄り添うお酒」としての魅力に本醸造酒ファンも増えています。

今回ご紹介した5選の中で気になるお酒がありましたら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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