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吟醸酒とは|大吟醸酒との違いや特徴、おすすめの吟醸酒を紹介!
吟醸酒は、素材と製法を吟味して造られる香り高い日本酒です。適度なキレもあり、食事と一緒においしく楽しめます。
今回は、唎酒師が吟醸酒の味や香りの特徴、精米歩合などについてわかりやすく解説!おすすめの吟醸酒5選も紹介します。日本酒専門サイトが詳しくご案内しますので、安心してお読みいただけます。「吟醸酒について知りたい」、「日本酒をもっとおいしく楽しみたい」というときの参考にしてください。
Contents
吟醸酒とは
吟醸酒は、吟醸造りで生まれる華やかな香りが特徴的なお酒です。吟醸造りとは、原料や製法などを吟味した醸造法のこと。国税庁では、以下のように吟醸造りを定義しています。
吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。
また、吟醸酒には製法以外にも、原料や精米歩合など以下のような条件が設けられています。
吟醸酒 | 原料 | 精米歩合 | こうじ米の使用割合 | 香味などの要件 |
・米
・米こうじ ・醸造アルコール |
60%以下 | 15%以上 | ・吟醸造りを用いる
・固有の香味を持つ ・色沢が特に良好 |
まずは、吟醸酒の大きな特徴である「醸造アルコール」と「精米歩合」についてみていきましょう。
原料に「醸造アルコール」を使用する
吟醸酒の大きな特徴は、原料に「醸造アルコール」を使用することです。
醸造アルコールとは、サトウキビなどを主原料とした純度の高いアルコールのこと。味や香りはほとんどなく、カクテルベースにも用いられます。
日本酒造りに醸造アルコールを使う主な目的は、味や香りなどの調整のためです。醸造アルコールを添加したお酒は、後口のキレが引き立つスッキリとした味わいに仕上がります。
また、醸造アルコールの添加量や米との相性、細かな製造方法の違いで、お酒の味わいは大きく変化します。そのため、醸造アルコールの使い方は、蔵のこだわりが大きく現れる部分といえるでしょう。
とはいえ、醸造アルコールはいくらでも添加して良いわけではありません。吟醸酒として販売するためには、添加量は白米の重さの10%以下と決められています。
精米歩合は60%以下
精米歩合とは、米粒の外側を削り、残った割合を数字で表したものです。吟醸酒には、「精米歩合60%以下の米を使用する」という条件があります。
精米歩合60%とは、米の外側を40%削り取っているということです。日本酒用の米の一般的な精米歩合が75%程度であることからも、吟醸酒ではより小さく削った米を使用することがわかります。
米を小さく精米する工程は、手間と技術を要するものです。そのため、より小さな米を使う『大吟醸』などは、高価格帯の商品が多くなります。
よくある質問|吟醸酒と大吟醸酒の違いとは
吟醸酒と大吟醸酒の大きな違いは精米歩合です。吟醸酒が精米歩合60%以下の米を使用するのに対し、大吟醸酒には50%以下の米が用いられます。
そもそも、日本酒に使う米の外側を削るのは、雑味の原因となる栄養素を取り除くのが目的です。
米の表面には、たんぱく質や脂肪、ビタミンといった栄養素が含まれています。これらの栄養素は日本酒造りに必要な一方、多すぎると香りや味を損ねる原因となってしまうのです。そのため、食用米では外側を8%程度削れば良いのに対し、日本酒造りでは30%近く削り取る必要があります。
米を小さく削る精米には、竪型(たてがた)精米機と呼ばれる大きな精米機が用いられます。
吟醸酒の条件である精米歩合60%まで削るのに要する時間は、およそ24時間。大吟醸酒の最低条件50%まで削るには、実に48時間もの時間がかかります。
ちなみに、「50%以下」が条件ということは、精米歩合が40%や30%の大吟醸酒も存在するということです。米粒を砕かずに小さく精米するのは非常に難しく、山口県旭酒造の「獺祭磨き二割三分(23%)」が誕生したときは、大きな話題となりました。
一般的に、米を小さく磨いて仕込むお酒ほど、澄み切った味わいのお酒に仕上がるといわれています。そのため、大吟醸酒は吟醸酒よりも、香り高くクリアな飲み口の銘柄が多くみられます。
吟醸酒の香りや味わいの特徴
吟醸造りで造られる吟醸酒は、フルーティーな香りが特徴です。蔵によってさまざまな個性があるものの、味わいはキレのあるタイプが多くみられます。
吟醸酒のフルーティーな香りは「吟醸香(ぎんじょうこう・ぎんじょうか)」とも呼ばれています。ここでは、吟醸酒の持つ香りや味の特徴について探っていきましょう。
吟醸酒の大きな特徴「吟醸香」
吟醸香は、吟醸造りによって生まれる香りです。日本酒は、蒸した米と米麹、水、酵母を発酵させて造られます。吟醸造りは、材料を低温でゆっくりと発酵させることで、酵母由来の甘い香りを生み出しています。
吟醸香に大きく関係するのが、前述した精米歩合です。本来、米の表面には脂質が多く含まれています。脂質は、酵母の働きを抑える作用を持つ栄養素です。
吟醸酒は、通常の日本酒に比べ外側をより多く削った米で造られます。そのぶん脂質が取り除かれ、酵母が活発に働き吟醸香を多く生成するというわけです。
また、酵母が生成する香り成分には、「カプロン酸エチル」や「酢酸イソアミル」などさまざまな種類があります。
リンゴのような香り成分「カプロン酸エチル」
吟醸酒から香る、リンゴやナシのような甘酸っぱい香りは「カプロン酸エチル」という成分によって生まれます。
カプロン酸エチルは、酵母が脂肪酸を合成しアルコール発酵するときに生まれる成分です。近年は研究開発が進み、カプロン酸エチルをより多く生成する酵母が吟醸酒の製造に使われています。
バナナのような香り成分「酢酸イソアミル」
バナナやメロンのような香りは「酢酸イソアミル」という成分によって生まれます。カプロン酸エチルに比べ、穏やかで甘い香りが特徴です。
香りを生成する酵母には、さまざまな種類があります。なかでも、酢酸イソアミルを生成しやすい酵母が「きょうかい14号」です。酒蔵はこうした酵母の特徴を見極めながら、さまざまな個性を持つ吟醸酒を造り出しています。
味わいはスッキリタイプが多い
使う米や酵母により異なるものの、吟醸酒は香り高くスッキリとした味わいが主流です。より小さく精米した米を使うため、雑味のないクリアな飲み口に仕上がります。
また、醸造アルコールによるキレも吟醸酒の持ち味です。米と米麹のみを原料とする「純米酒」とは、また違った個性を楽しめるお酒といえるでしょう。
吟醸酒のおすすめの飲み方
吟醸酒の個性を活かした飲み方を選べば、より一層おいしくお酒を楽しめます。また、日本酒は幅広い温度帯で味わえるお酒です。酒器にもさまざまなタイプがあります。
ここからは、温度と酒器に注目した吟醸酒のおすすめの飲み方を紹介します。吟醸酒が手元にあるときは、ぜひ参考にしてください。
温度帯は冷酒か常温がおすすめ
吟醸酒の特徴であるフルーティーな香りは、冷酒か常温で楽しむのがおすすめです。あくまで好みではあるものの、温度が極端に高かったり低かったりすると、吟醸香が抑えられてしまいます。
理想の温度帯は、常温で20℃前後です。冷やして飲むときは、7~10℃を目安にしてください。燗酒にするなら35〜40℃前後がおすすめです。米本来の香りが広がり、お酒のシャープなキレ味が引き立ちます。
吟醸酒にはワイングラスもおすすめ
吟醸酒のフルーティーな香りを楽しみたいときは酒器にもひと工夫。日本酒はおちょこなどで飲むのが一般的ですが、香りを感じたいときはワイングラスに注いでみましょう。深く丸い形のグラスが吟醸香を包み込んでくれます。
また、ガラス製のグラスは縁が薄く、シャープな飲み口を感じやすくなる点もメリットのひとつです。吟醸酒のなかには洋食と相性の良い銘柄も多いため、料理に合わせてぜひ酒器にもこだわってみてください。
おすすめの吟醸酒5選
ここからは、おすすめの吟醸酒5選を紹介します。日常酒にぴったりの吟醸酒から贈り物におすすめの1本まで、幅広い種類を取り揃えました。吟醸酒の定番ともいえる銘柄も登場するため、「吟醸酒ってどんなお酒?」と気になるときはぜひチェックしてみてください。
久保田 千寿
味わい | スッキリとキレのある味わい |
香り | 料理をじゃましないおだやかな香り |
酒米 | 五百万石 |
おすすめ用途 | 少し特別な日常酒や、お酒好きな方への贈り物 |
合うおつまみ | 煮物など濃い目の味付けの料理、刺身 |
おすすめの飲み方 | 冷酒、常温、ぬる燗、 |
「久保田 千寿」は、新潟県の朝日酒造が造る吟醸酒です。朝日酒造で「久保田 千寿」が誕生したのは、1985年(昭和60年)のこと。以来、おだやかな香りとキレをあわせ持つ「久保田 千寿」は、淡麗辛口酒の代表格として親しまれてきました。
スッキリとした味わいの「久保田 千寿」は、料理と合わせるお酒におすすめです。旬の野菜や魚の味わいを、さらに引き立ててくれます。
また、少し濃い目の味付けで仕上げた煮物や、揚げ物などと相性が良いのもうれしいポイントです。お酒のキレ味が口内をリセットし、食を次へと進ませます。
香りは控えめで、温度が変わっても味のバランスが崩れないことも特徴のひとつ。暑い夏にはキリッと冷やして枝豆と一緒に。寒い冬にはぬる燗でじっくり味わうなど、季節に合わせた楽しみ方を満喫できます。
菊水酒造 無冠帝
味わい | ジューシーでまろやかな旨味 |
香り | 控えめな甘い香り |
酒米 | 新潟県産米100% |
おすすめ用途 | 日常酒やお酒好きな方への贈り物 |
合うおつまみ | フレッシュチーズのサラダ、カルパッチョ |
おすすめの飲み方 | ロック、冷酒、常温 |
菊水酒造の「無冠帝」は、生詰製法で造られた吟醸酒です。生詰とは、火入れと呼ばれる加熱殺菌処理を1度だけおこなう製法のこと。
通常の製造工程では、瓶に詰める前と後の2回、火入れをおこないます。生詰は瓶詰後に火入れをしないため、フレッシュさが残りつつまろやかな旨味を楽しめるのが特徴です。
ワインボトルを思わせる美しい透明ボトルも魅力のひとつ。味わいはキリリと爽快な辛口タイプで、2021年の「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」では金賞を受賞しました。
「無冠帝」という名前には、「地位や名誉にこだわらず、一方で、高い志を持っている」という蔵の吟醸酒に対する想いが込められているそう。
冷酒や常温はもちろん、氷をたっぷり入れたロックスタイルでも楽しめることもおすすめポイントです。暑い夏の晩酌から記念日の1杯まで、幅広いシーンで活躍してくれます。
出羽桜 桜花吟醸
味わい | やや辛口のスッキリタイプ |
香り | 華やかでフルーティー |
酒米 | 国産米 |
おすすめ用途 | 日常酒やお酒好きな方への贈り物 |
合うおつまみ | カプレーゼ、刺身、湯豆腐 |
おすすめの飲み方 | 冷酒、常温、ぬる燗 |
山形県の酒蔵「出羽桜」は、吟醸酒ブームの火付け役となった酒蔵です。
2016年には、ロンドンで開催された「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」SAKE部門で、2度目となる「チャンピオン・サケ」を受賞。華やかな香りとスッキリとした味わいは、海外でも高く評価されています。
なかでも「桜花吟醸」は、酒蔵のフラッグシップともいえる銘柄です。過去には、英国最古かつ王室御用達のワイン商が初めて扱う日本酒に採用されました。
その甘い香りは、大手化粧品の香りサンプルに活用されたこともあるほど。それでいて後口はスッキリ軽く、お酒を飲み慣れない方も親しみやすい味わいです。
より香りが引き立つのは5〜10℃の冷たい温度帯ですが、ぬる燗でも美味しく楽しめます。冷やした状態で酒器に注ぎ、温度による吟醸香の変化を堪能するのもおすすめです。
石本酒造 越乃寒梅 吟醸 別撰
味わい | 淡麗辛口 |
香り | 料理に寄り添う軽やかな香り |
酒米 | 五百万石(新潟県)
山田錦(兵庫県三木市志染町産)、他 |
おすすめ用途 | 日常酒や少し特別な日のお酒に |
合うおつまみ | スルメ、クリームチーズの味噌漬け、塩辛 |
おすすめの飲み方 | 冷酒、常温、ぬる燗 |
「越乃寒梅」は、香り控えめでスッキリとした旨味を持つ日本酒です。醸造元「石本酒造」が建つ新潟市の亀田郷は、江戸時代から梅の名産地でもあります。まだ雪が残るなか、春に花を咲かせる梅の姿が「越乃寒梅」の名前の由来となりました。
なかでも「吟醸 別撰」は、軽快な飲み口が特徴的なお酒です。香りはおだやかで、冷やから燗まで幅広い温度帯で楽しめます。
使用している酒米は、新潟県産の「五百万石」です。さらに兵庫県産の「山田錦」などをブレンドし、クリアな味わいを生み出しています。
スルメや塩辛といった定番おつまみとも好相性。コクのあるチーズとのペアリングも楽しめます。スルスルと飲み進められる飲み飽きないおいしさは、日常酒におすすめです。
750mlあたり1000円台と手頃な価格帯で、「おいしいお酒を常備したい」というときにぴったりの吟醸酒といえるでしょう。
南部美人 結のしずく
味わい | 適度な旨味があり後味はスッキリ |
香り | おだやかな吟醸香 |
酒米 | トヨニシキ、他 |
おすすめ用途 | 日常酒 |
合うおつまみ | ホタテのバター焼き、昆布巻き |
おすすめの飲み方 | 冷酒、常温、ぬる燗 |
「結のしずく」は、岩手県の酒蔵「南部美人」が手がけるお酒です。2019年の「インターナショナルワインチャレンジ(IWC)」では、吟醸酒の部で岩手トロフィーを受賞。地元の二戸酒類業青年会の企画により誕生したオリジナルのお酒です。
穏やかな吟醸香が心地よく、飲み口はまろやか。寒い地域の日本酒らしく、燗酒でおいしいことも特徴のひとつです。ぬる燗にすると米麹の香りがふわっと広がり、米本来の旨味が引き立ちます。
新鮮な魚介類との相性も良く、旨味の強い貝類とのペアリングは特におすすめです。青森名産のホタテやアワビと合わせれば、より豊かな味わいが広がります。
750mlあたり1000円台と、コストパフォーマンスの良さも魅力です。青年会の会員による限定販売が基本ですが、一部はネットショップでも購入できます。
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