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九州南部の鹿児島県といえば、焼酎大国というイメージが強いのではないでしょうか。
他県では「酒」と言えば日本酒、海外でも「SAKE」は日本酒を指します。
しかし、鹿児島県に入ると「酒」といえば「焼酎」のこと。
そんな焼酎文化が圧倒的に強い鹿児島県ですが、
近年、およそ40年ぶりに日本酒造りを復活させた酒造があります。
さらに別の酒造でも同社初となる日本酒が発売され、
鹿児島県の日本酒文化が息の根を吹き返しているのです。
今回は、鹿児島県の日本酒事情と、現在発売されている
鹿児島県産の日本酒を、7本全てご紹介します。
まだまだ数は少ないですが、鹿児島県日本酒業界の幕開けを見事に飾る、上質な銘柄ばかりです。
鹿児島の郷土料理とも非常に相性が良いので、鹿児島県の新しい日本酒文化を楽しんでみましょう。
Contents
鹿児島の気候と風土、日本酒に関する歴史
日本の西南部にあたる鹿児島は、東京に行くよりもソウルの方が近い位置にあります。
面積は国内で第10位、九州県内では1位。およそ600kmほど南北に伸びる形です。
南国のイメージ通り温帯と亜熱帯に属するものの、県北部の伊佐市など地域によっては1月の最低気温が氷点下となります。
屋久島など南の離島でも、冬の山間部は厳しい寒さが訪れることから、鹿児島県は世界的に見ても温帯・亜熱帯・冷温帯の3つが存在するエリアなのです。
鹿児島と日本酒の歴史
鹿児島県は、活火山によりできたシラス台地が広がっています。
シラス台地とは、およそ25,000年前に姶良カルデラから噴出した火砕流堆積物と、霧島山や桜島などから降り注いだ火山灰の堆積したもので、非常に水はけが良い特徴を持っています。
一方で水分を保持することが非常に難しく、水不足や農作物が育ちにくいというデメリットもあります。
日本酒造りに必要な米を作ろうにも、技術もノウハウも乏しかった時代は日本酒の製造が難しく、シラス台地と水はけの良さを好むサツマイモの栽培がマッチングし、農業のメインとなっていました。
薩摩藩は、財政力を育てるべく焼酎の製造を奨励し、免税などの政策を積極的に勧めたことから、焼酎文化が盛り上がるのは必然だったとも言えるでしょう。
そのような環境であったことから、鹿児島県では日本酒が作られなかった時代がありました。
また、日本酒造りは徹底した温度管理が重要ですが、鹿児島県は年中温かい地域や気温差が大きい地域も多く、日本酒づくりが難しかったことも関係しています。
日本を代表する日本酒ですが、およそ40年間もの間、鹿児島県は日本で唯一「日本酒が作られない県」だったのです。
しかし2018年、濱田酒造の金山蔵から、およそ40年ぶりとなる鹿児島県産日本酒が産声を上げました。
現在は明治創業の老舗酒蔵・濱田酒造の金山蔵と、170年以上の歴史を誇る西酒造、2つの酒造が鹿児島県産日本酒を発売しています。
今後も、銘柄だけでなく日本酒造りを始める酒造がでてくることが期待されます。
日本酒の選び方のポイント
鹿児島県産の日本酒を選ぶにあたって、目安となる種類や味、香りの違いをピックアップしました。
味や香りは高評価のクチコミが多く投稿されていましたが、そもそも鹿児島県産の日本酒は銘柄や流通数の母数が少ないので「鹿児島県産日本酒」というだけでも、珍しい贈り物になるでしょう。
ポイントその1:日本酒3種類の特徴と注目ポイント
日本酒は精米歩合や原材料、数値などの項目で3種類に分類されます。
精米歩合とは、原料のお米を磨いて雑味を取り除く作業をした後、残った米の割合を表したものです。精米された米は「磨かれた」とも表現されます。
3種類のうちどれに属するかで味が異なり、好みも分かれてくるので日本酒選びの大きなポイントです。
・吟醸酒
醸造アルコールが添加され、精米歩合が60%以下、大吟醸酒は50%以下のものを吟醸酒と呼びます。
製造鄭では、米が磨かれたのち低温長時間の発酵が施されるため、フルーティーな香りになるのが特徴です。
吟醸香とも呼ばれ、他の種類と大きく違うポイントの1つです。
・純米酒
米・米麹・水のみで作られるのが純米酒で、お米の味を堪能できるのが特徴です。
炊き立てのお米のように、ふくよかな香りと甘味、旨みがしっかり感じられます。
・本醸造酒
製造過程で醸造アルコールが添加され、精米歩合が70%以下になるものが本醸造です。
特別醸造酒は精米歩合が60%以下になります。
香りは控えめですが、淡麗でまろやかな味わいになるのが特徴です。
ポイントその2:甘口・辛口の味わいで選ぶ
日本酒は、比重を表した数値「日本酒度」で甘口か辛口かに分類されます。
辛口の日本酒は日本酒度がプラスで糖分少なめ、甘口の日本酒はマイナスで表記され糖分多めの日本酒です。
また、日本酒の「酸度」にも注目してみてください。
酸度は乳酸やリンゴ酸の相対量を表すので、酸度が高いものは濃厚で辛く、低いものは淡麗で甘さが際立ちます。
ちなみに、日本酒は冷やすと淡麗さが引き出され、温めると濃厚さが際立ちます。
日本の四季やその日の温度・湿度で調整できるのも日本酒の奥深さです。
ポイントその3:香りの違いで選ぶ
日本酒は香りを楽しめるのも魅力ポイントです。
種類によって異なりますが、特に香りが高い吟醸酒は果物や花の香りが強く、日本酒初心者の他でも違いが分かりやすく楽しめるしょう。
日本では香りの違いについて、次のように表現されるのが定番です。
- フルーティー:バナナやリンゴ、パイナップルやライチなど甘い果実に近い
- さわやか:レモンやライムなどの柑橘系、笹の葉や青竹など植物をイメージする香り
- ふくよか:お米や穀物、栗や落花生といったナッツに近い香り
- はなやか:梅など花の香を思わせる香り
しっかり熟成させた「熟成感」や、天然乳酸菌仕込みには「すっきり」などの表現も用いられます。
天然乳酸菌仕込みはヨーグルトサワーのような、爽快な発砲感が楽しめるので、夏の暑い夜やお風呂上りに冷酒でいただくと最高です。
鹿児島の日本酒おすすめ7選
ここからは、鹿児島で作られている日本酒をご紹介します。
現時点(2022年2月末)で鹿児島産の日本酒は7本。
鹿児島の日本酒文化を復活させた濱田酒造と西酒造が、丹精込めて作った銘柄です。
鹿児島名物のおつまみと一緒に楽しんでみてください。
鹿児島産日本酒:薩摩政宗 大吟醸酒
種類 | 大吟醸 |
味わい | スッキリした甘味で淡麗 |
香り | パイナップルや青りんごのようなフレッシュで爽やかな香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 刺身や魚介料理 |
おすすめの飲み方 | 冷や |
薩摩の清酒、プレミアムな大吟醸です。
上質な焼酎を作るためのノウハウと、県内産酒造好適米や金山蔵の特性を掛け合わせたハイブリッド大吟醸です。
フレッシュで爽やかな果物の香りは、鹿児島名産のきびなごの刺身や鳥刺しとあわせるとより美味しく召し上がれます。
薩摩政宗 大吟醸酒
鹿児島産日本酒:薩州正宗 純米酒
種類 | 純米酒 |
味わい | 濃厚でふくよかな味わい |
香り | お米のふくよかな香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 濃い味付けの和食、コクのある料理 |
おすすめの飲み方 | 冷や・燗酒 |
整合歩合70%、お米のふくよかな香りと味わいが特徴です。
地元・いちき串木野市の天然水を使い、濃厚辛口に仕上がっています。
冷酒、燗酒どちらも美味しく召し上がれます。
鹿児島の郷土料理、とんこつの味噌煮とも好相性です。
鹿児島産日本酒:薩州正宗 純米吟醸酒
種類 | 純米吟醸酒 |
味わい | すっきりとした甘み |
香り | 花や果物の華やかな香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 刺身やお寿司、白身魚の料理、フルーツ |
おすすめの飲み方 | 冷や |
すっきりとした甘みと、花や果物を思わせる吟醸酒ならではの香りが楽しめます。
キレもよく飲み飽きないため、食中酒から食後のデザートまで合わせられます。
常温と冷酒では味わいも香りも変化するので、その日の気分で飲み分けてみるのもおすすめです。
鹿児島産日本酒:天賦 純米吟醸
種類 | 純米吟醸酒 |
味わい | なめらかな味わい |
香り | 花やバナナのような甘い香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 和洋幅広く合う万能酒 |
おすすめの飲み方 | 冷や |
鹿児島の芋焼酎でも人気の「宝山」を製造している西酒造が、山田錦を使い洗練された日本酒として作り上げました。
花やバナナ、桃やメロンのような吟醸香が特徴なので、冷酒がおすすめです。
鹿児島名産のきびなごの刺身や和食、鹿児島名物黒豚のしゃぶしゃぶともよく合います。
鹿児島産日本酒:天賦 純米酒
種類 | 純米酒 |
味わい | やわらかくまろやか |
香り | 芳醇なフルーツの香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 刺身や魚介料理、和食、洋食 |
おすすめの飲み方 | 冷や・常温 |
西酒造が初めて製造した日本酒です。
しつこくない甘さ、芳醇なフルーツの香りもキレがいいので、料理の邪魔をしません。
常温と冷酒では味わいがはっきりと変わるので、料理に合わせてお好みの飲み方を試してみてください。
鹿児島産日本酒:天賦 純米吟醸 赤磐雄町 搾立生酒
種類 | 純米吟醸 |
味わい | 上品で豊かな味わい |
香り | 甘く爽やかな果実の香り |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 刺身や魚介料理 |
おすすめの飲み方 | 冷や・常温 |
鹿児島産日本酒に、味わいや品質の変化を楽しめる生酒が登場しました。
洋ナシや南国のフルーツを思わせるフレッシュな香りと上品な甘さは、冷酒・常温・燗酒や日にちによって異なります。
1本目で変化の様子を観察し、2本目で変化に合わせた料理を考えるという楽しみ方もおすすめです。
天賦 純米吟醸 赤磐雄町 搾立生酒
鹿児島産日本酒:天賦 純米吟醸 播州愛山
種類 | 純米吟醸酒 |
味わい | キレのある酸味のあとまろやかに変化 |
香り | 花やフルーツの中に微量のスパイシーさ |
おすすめ用途 | 自分用・プレゼント用 |
合うおつまみ | 刺身や魚介料理、揚げ物、濃い味付けの料理 |
おすすめの飲み方 | 冷や |
鹿児島の老舗焼酎蔵元・西酒造から発売されている純米吟醸酒です。
白バラやストロベリーのような華やかな香りとキレのある酸味、やさしい甘さが目立ちます。
冷酒では心地いい発砲感が出るので、天ぷらなど揚げ物とも好相性です。
鹿児島の日本酒を存分に堪能しよう
焼酎文化が根強く、日本酒造りが再開されなかった鹿児島県に、近年新たな風が吹き始めました。
40年ぶりに日本酒造りが復活し、鹿児島県の「飲んべぇ」たちの間でも日本酒人気が盛り上がっています。
鹿児島市内で飲み屋が集まる天文館エリアでは、日本酒に力を入れたお店も増えてきていることから、他の酒蔵から日本酒が登場するかもしれません。
鹿児島県産の日本酒は、郷土料理とも相性の良い設計が施され、食中酒として抜群の銘柄ばかり。
ぜひ、産声をあげた新酒を試してみてください。
各地の日本酒をもっと知ろう
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