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お酒を造る蔵元ごとの仕込みの違いや使われている米、水の違いで、
お酒ごとに違う表情を見せるのが、日本酒の魅力。
そんな日本酒をご自宅で美味しく堪能するには、その保存・保管が大事。
今回はその方法についてご紹介していきます。
美味しい日本酒編集部
日本酒を長く楽しむには保管の仕方が非常に大切です!
しっかり理解して実践してみてください!
Contents
なぜ日本酒には賞味期限がないのか?
開封前の日本酒には、実は賞味期限(消費期限)の記載がありません。
食品表示法においては食品製造の際に、
賞味期限および消費期限を分かりやすく表示することが義務付けられていますが、
日本酒に関してはその記載義務がないのです。
その理由としてはシンプルに「アルコールだから」です。
多くの方がご存知のことかと思いますが、
アルコールには殺菌・消毒作用があります。
日本酒はお酒ですので、当然アルコール度数が高めであり
腐敗の心配がなく、長期保存が可能。
ですので食品表示法において日本酒は、
消費期限または賞味期限の表示を行わなくて良いのです。
ただし、食品表示法とは別の法律である
「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」によって、
日本酒においては製造時期の表示が定められています。
しかし、ここに記載の「製造した時期」に関しては
清酒の仕込みをしてそれが出来たタイミングではなく、
原則としては「販売する目的をもって瓶詰めをした年月日」となっていますので、
その点に関しては注意が必要です。
(※開封後の日本酒に関しては、
品質が劣化しやすいのでお早めに飲み切ることをおすすめします。)
日本酒は「紫外線に当てない」こと!
数あるお酒の酒類の中でも、特に取り扱いがデリケートであると言われている日本酒。
その最大の弱点が「紫外線」です(この点は実はワインも同様です)。
日本酒に紫外線が当たると急激に着色します。
さらに、「日光臭(びん香)」と呼ばれる
”ねぎの匂いのような不快な匂い”が生じて、
風味が劣化が生じてしまうのです。
その理由としては紫外線の影響により、
酒中のビタミンをはじめとする微量成分や有機酸の分解などの変化が生じるため。
日本酒の豊かな味わいを醸し出す各種成分が
絶妙なバランスで成り立っているものであるからこそ、
外部の刺激に関して弱さを見せてしまうという事のようです。
(※ですので、お花見などの野外での飲みの際に日本酒を楽しむ場合には、
紙に包んでおいたり箱に入れておいたりなどして、
直射日光にさらさないような工夫が必要です!)
そんな紫外線に対しての日本酒のもろさを先人たちも理解しており、
光をさえぎり、瓶の中の酒を変質させないためにも
「一升瓶は昔はほとんどが茶色だった」のだそうです。
さらに茶色の次には緑色が多かったそうなのですが、
これも茶色と同じく紫外線をシャットアウトするからです。
さらに付け足すと、室内の明かりでも「蛍光灯」は紫外線を発しているので、
この点も注意が必要です(白熱灯やLEDは大丈夫です)。
日本酒は常温以上の場所、激しい温度変化に弱い
そして、紫外線に続く日本酒の品質管理におけるもう一つのウイークポイント。
それは「温度変化に弱い」という点です。
日本酒は、「冷酒」「常温」「熱燗」など、様々な温度帯で風味や飲み口が変わり、
その変化を楽しむことができるという点も大きな魅力。
しかし飲む前の保管においては、日本酒の持つデリケートさを考慮したうえで
キチンとした対応が必要です。
というのも、特に瓶詰後の日本酒の風味を安定させるために行う
加熱処理=「火入れ」を行なっていない「生酒」の場合には、
日本酒の中の酵母が生きていて、さらに発酵が進んでしまうことにより、
お酒の食味が大きく変わってしまうからです。
(※ですので、特に生酒に関してはお早めに飲み切ることが大事です!)
また、すでに火入れが行われた日本酒においても、
酒中のビタミンをはじめとする微量成分や有機酸が激しい温度変化の中では変質してしまい、
やはり日本酒の持つ風味や飲み口が大きく変化してしまいます。
(※ただし、あえて常温の冷暗所に長期間の貯蔵を行うことにより、
その熟成度合いによる味わいの違いを楽しめる
「古酒(長期熟成酒)」というものもありますので、
経年変化が一概に悪いというわけではありません。)
このように繊細な扱いが必要な日本酒にとっては、
出来れば低い温度による安定した温度管理が必要です。
一般的な日本酒の保存温度は20℃以下とされています。
しかし理想を言うと「5℃〜10℃がさらに良い」ともされています。
さらに、火入れがされていない生酒の場合は「5℃以下」での保存を徹底して、
可能な限り酵母の発酵を止めて、瓶詰めした瞬間の味をキープしておきたいところです。
吟醸酒・生酒は「冷蔵庫」、純米酒・古酒は「冷暗所」
日本酒のひとつの大きな特徴として、
同じ銘柄であっても原料や精米歩合などの違いによるバリエーションがあり、
それぞれによって明確な味や香り、飲み口の違いがあります。
大まかに分けると、
吟醸酒 | 日本酒の醸造に使うお米の精米歩合が60%以下のもので、 さらに通常よりも低い温度で長時間発酵させる「吟醸造り」 という製法によってフルーティーで華やかな風味を味わえます。 |
生酒 | 「火入れ」が一度も行なわれていない日本酒で、 生酒ならではの新鮮で若々しい味わいを楽しめます。 |
純米酒 | 「本醸造酒」や「吟醸酒」はその醸造の過程において 「醸造用アルコール」が使われますが、それに対して 純米酒の原料は「米」「米麹」「水」のみ。 米本来の旨味や風味がダイレクトに味わえるのが特徴です。 |
古酒 | その名の示す通り、日本酒を長期間熟成熟成させたもので、 その熟成期間の長さに応じた味わいの違いが堪能できます。 |
そして、これらのバリエーションの違いによって、その保管方法も違ったものになります。
・吟醸酒(大吟醸および吟醸酒):10℃前後<冷蔵庫での保管>
・純米酒:常温<冷暗所での保管>
・普通酒:常温<冷暗所での保管>
(※冷暗所とは、「押入れ」「本棚」「キッチン収納」など、
日光が差さず温度が上がらない場所を指します。)
日本酒は必ず立てて置きましょう
お酒好きの人なら、
「ワインは品質を保つために横に置く」
という事はご存知かもしれません。
これは、ワインを寝かせておくことでコルクが湿った状態にしておくと
コルクが湿っていることにより外から空気が入らず、
酸化による品質劣化が防げるからです。
日本酒においてはワインと異なり「立て置き」が鉄則です。
というのも、日本酒の場合は横に寝かせておいてしまうと、
キャップ部分のゴムやプラスチックに日本酒が触れてしまい、
その嫌な匂いが日本酒に移ってしまい味も香りも劣化してしまうから。
もう一つ、立て置きが望ましい利用としては、
酸化による味わいの劣化を防ぐためです。
ワインの場合と同様に、日本酒においても酸化によって味も風味も変わってしまいます。
この酸化という点を考えると、瓶を横に寝かせた時に比べ、
立てて置いた時はお酒が空気に触れる面積が大きくなるため、
そのぶん酸化が進んでしまうこととなるのです。
とはいえ、一升瓶で取り扱われることの多い日本酒は、
その瓶自体の大きさから置き場所に困ってしまうことも多いもの。
そんなときは、コンパクトな「四合瓶」や「ペットボトル」に
移して保管してしまえば、場所問題は解決です!
四合瓶やペットボトルに移し替える際は、
酸化防止のためにも出来るだけ目一杯に口きりまでお酒を詰めて、
容器内の空気の部分がなくなるようにしてください。
また、口きり一杯に入れた状態でしたら、横に寝かせても大丈夫です。
さらに、最近は打栓の四合瓶も出回っていますが、
できればスクリューキャップの四合瓶を使ってください。
日本酒は包んでおけばさらに安心!
「日本酒は紫外線に弱い」とは先ほどもふれました。
その際、日本酒の瓶の色がこの紫外線の影響を少なくするため
という点も述べさせていただきましたが、
とはいえ瓶の色だけでは紫外線の影響は大きく防げるものではありません。
紫外線の影響をさらにしっかり防ぐためにも、日本酒は包んでしまって、
飲まない間は光に触れさせずをシャットアウトしてしまうのが、
美味しく日本酒を飲むためにはオススメです。
まずはお手軽なやり方としては、1本1本を新聞紙で包むこと。
ネット通販で日本酒を購入した際も新聞紙で包まれていることも多いです。
さらに、化粧箱に入った状態で入手が出来た場合には、
飲まない場合には化粧箱から取り出さず入れっぱなしにしておき、
飲む時にだけ取り出して使うようにしましょう。
また、日本酒の包み方の部分に関しては、
古くから風呂敷に包むやり方が行われてきました。
これですと保管の部分もさることながら、そのまま持って行って訪問できたり、
はたまたそのまま先方に差し上げるという対応も可能です。
一升瓶の高さの2倍超ほどある大きさの風呂敷を準備します。①一升瓶を中央に置きます。
②真ん中に置いた一升瓶を中心にして風呂敷の対角の先端を、
一升瓶を包む状態にして瓶の口の上で真結びにします。
③残った対角の二端を一升瓶の側面で交差させて、正面で結びます。(※持ち手を作りたい場合は、瓶の口で結んだ部分をさらに真結びにしてください。
上記にも触れました風呂敷を使った包み方に関しましては、下記をご参照ください。
残った日本酒の活用方法
この項ではさらに、期せずして品質が劣化してしまったり
飲み切れなかったりした日本酒の活用方法に触れていきます。
①料理酒として利用する
日本酒の味わいであるお米のコクや旨味、そして豊かな香りは、
料理酒として使うことでその料理に更なる風味を与えます。
具体的な例を挙げると、たとえばご飯を炊く際に
少し日本酒を入れると風味豊かに炊き上がりますし、
蕎麦つゆに少し加えればまろやかな味わいとなります。
お酒を調理に使うという意味では、魚や貝類の酒蒸しなどにはそのまま使えますね。
はたまた、しゃぶしゃぶの通し湯にコップ一杯ほどの日本酒を入れると
豊かな風味を添えることにもなりますし、
ポン酢などの浸けダレの中にちょっとだけ日本酒を入れたり、
鍋に少し風味を付け足す、というのもいいですね!
あと、日本酒の活用という事で和風料理中心の使用にはなるかなと思いますが、
少し変わった使い方として
「カレーに入れてみる」
「ステーキなどを焼く際の”フランベ”に使う」
「シチューやボルシチなどの煮込み料理に少し加える」
「各種ソースに隠し味として垂らし入れる」
など、和洋問わずに活用を考えられます。
②入浴剤や化粧水として使う
アミノ酸成分が含まれた「栄養剤」といっても差し支えのない日本酒。
入浴剤や化粧水として使用しても効果を発揮しますし、
その豊かな香りによってのリラックス効果までも期待できます。
日本酒好きなら日本酒セラーもおすすめ
「日本酒が大好きだ!」と日本酒好きを自負される人ならば、
「日本酒セラー」の導入をおすすめします。
日本酒セラーとは、日本酒を適切な温度で保存するための冷蔵庫のようなケースのこと。
日本酒を本当に良いコンディションで保管するためにはぜひ使っていきたいものです。
日本酒の一升瓶は大きすぎて冷蔵庫に入らず、なおかつ先ほども触れましたように
「縦置きが理想的」という点にも、日本酒セラーなら対応しています。
冷蔵庫での保管の場合のように普段から開け閉めがされることがないことにより、
肝心の温度管理が万全となります。
また日本酒セラーは日本酒の持つ繊細さが考慮されているため
ワインセラーより低めの温度設定が可能となっています。
さらに、日本酒が紫外線に弱いことに触れましたが、
蛍光灯をはじめとした室内灯の影響も防ぐことが出来ます。
もちろん一升瓶の縦置きまでが可能なワインセラーであれば、
代替品として活用が可能です。
日本酒を最後の一滴までお楽しみください!
ここまで取り上げましたように、
とてもデリケートで取り扱いにも十分に注意が必要な日本酒。
しかし、その特性を知ってしっかり保管すれば、
長らくその優れた風味を楽しむことが出来ますし、
万が一劣化したり飲み切れなかった際も楽しく活用することが出来ます。
日本酒の美味しさを、ぜひ最後の一滴までお楽しみください!
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