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お酒にまつわる資格は、数多くあります。ワインの資格である「ソムリエ」はその代表例だといえるでしょう。
ただ、日本酒にはこの「ソムリエ」にあたる資格はありません。もっとも、「日本酒ソムリエ」という資格自体はないものの、日本酒関連の資格はいくつかあります。
それについて解説していきます。
Contents
日本酒に関する資格一覧
ここではまず、日本酒に関する資格を一覧で紹介していきます。
唎酒師(ききさけし)……日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催/合格者のべ49,000人
日本酒ナビゲーター……日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催
日本酒検定……2010年開始/日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催/合格者のべ5,000人程度
SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)……2017年開始/一般社団法人日本ソムリエ協会
酒匠(さかしょう)……日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催/4次試験まであり、唎酒師と焼酎唎酒師の資格が必要
SSI研究室 専属テイスター……日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催/酒匠の資格を持ったうえで、選考回を突破する必要がある
日本酒学講師……日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催/600名以上
酒造技能士……中央職業能力開発協会/※国家資格※
日本酒に関するおすすめの資格
上では日本酒に関する資格を簡単に紹介してきましたが、ここからはより詳しく、特筆するべき資格について解説していきます。
ここで取り上げるのは、
・唎酒師
・日本酒ナビゲーター
・日本酒検定
・SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)
の4つです。
唎酒師
「日本酒ソムリエ」という資格はないものの、「日本酒のソムリエ」というかたちで紹介されることが多いのがこの「唎酒師」です。主にビジネスとして日本酒を扱う人を対象とした資格です。
・学べる知識……日本酒に関する基礎知識、日本酒と料理のペアリング、日本酒のテイスティング能力。また、お客様の好みに合わせた日本酒の提案技術
・受験資格……20歳以上
日本酒ナビゲーター
「日本酒ナビゲーター」は、日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合(SSI)主催の資格です。プロ向けの資格である「唎酒師」などの初級編ともいえるものであり、半日の受講で資格を取ることができます。
・学べる知識……日本酒全体の魅力
・受験資格……20歳以上、オンデマンド受講・会場受講、どちらでも可
日本酒検定
「日本酒の魅力を、多くの人に知ってもらうこと」を目的として作られた資格です。
5級~1級までの5段階があり、5級~4級は「自分で楽しむための知識を身につけるためのもの」、3級以上は「第三者や後継者以降に日本酒の魅力を伝えるためのもの」と位置づけられています。
・学べる知識……日本酒の魅力、3級以降は他者に伝えることを前提とする。1級は表彰される。また、テイスティングはない
・受験資格……3級までは20歳以上ならばだれでも可能。2級は日本酒検定3級合格者もしくは唎酒師認定者のみ。1級は日本酒検定2級合格者もしくは酒匠認定者あるいは日本酒学講師のみ。
SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)
お酒関係でもっとも有名な資格である「ソムリエ」を取り扱っている団体である「一般社団法人日本ソムリエ協会」が主催している日本酒向けの資格が、「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」です。日本酒だけでなく焼酎も試験範囲に含まれる資格であり、知識だけでなくテイスティング能力を含む技量が試されます。
SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)は非常に難易度が高く、その合格率は30%~40%程度に留まっています。
・学べる知識……日本酒・焼酎全般に関する知識およびテイスティング能力
・受験資格……20歳以上。一次試験と二次試験に分けられていて、テイスティングもある
本酒に関する資格を取得するメリット
日本酒に関する資格を取得することには、いくつかのメリットがあります。飲食店経営やお酒に携わる仕事をするうえでも活用できますが、「日本酒が好き」「日本酒を日常で味わいたい」という場合でも、資格は役立ちます。
・要望に応じた日本酒を選定できるようになる
・日本酒の販売促進に貢献ができる
・正しい品質管理ができる
・日本酒に合わせたメニューの開発ができる
・ お店選びや料理選びに役立つ
・お土産やプレゼントの選定に役立つ
ひとつずつ解説していきます。
要望に応じた日本酒を選定できるようになる
一口に「日本酒」といっても、その種類はさまざまです。どの米で作られているのか、精米歩合はどれくらいか、日本酒度や酸度はどれくらいか、どの蔵元が生産しているのかなどによって、その味わいは大きく異なります。
ほぼすべての日本酒にまつわる資格は、その取得過程で、「日本酒の特徴」「日本酒の基礎知識」を問います。これらを学ぶことで、日本酒について詳しくなることができますし、その知識に基づいて日本酒を選定することが可能になります。
自分自身の好みやお客様の要望に応じて、根拠に基づき、日本酒を選べるようになるのは大きなメリットです。
日本酒の販売促進に貢献できる
「日本酒」は、日本の文化であり、日本を象徴するもののうちのひとつでもあります。日本文化が広がりを見せるなかで、日本酒の輸出量は右肩上がりに増加しており、今後もこの傾向は続くものと思われます。特に目覚ましいのは香港への輸出量で、令和2年の段階と前年を比べた場合、その増加率は+56.7%にも上っています。
日本酒の資格を取得することで、このような海外需要に貢献することができます。日本酒の資格は、自社・自店の利益に繋がるだけでなく、「日本酒という文化」を広めるためにも役立つのです。
出典:国税庁「酒レポート 令和3年3月」
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2021/pdf/001.pdf
正しい品質管理ができる
日本酒もまた、ワイン同様、きちんとした環境で管理する必要のあるものです。管理に失敗すると、キャップのサビやカビが発生する可能性があるからです。
日本酒の資格を取得することで、日本酒の正しい品質管理の方法を学ぶことができます。また、万が一異常が発生した場合でも、すぐにそれに気づけるようになるでしょう。
飲食物の異常は食中毒などを引き起こす原因となるものであるため、これを未然に防げるようになるのは非常に大きなメリットです。
日本酒に合わせたメニューの開発ができる
お酒はそれ単体でも楽しむことができるものですが、料理と合わせることでより深く多様な楽しみ方ができるようになるものです。ワインと料理の組み合わせを考えるときにしばしば用いられる「ペアリング」「マリアージュ」の言葉は、日本酒と料理の組み合わせにももちろん適用されるものです。
店に足を運ぶお客様のなかには、定番の組み合わせを求める人もいれば、新しい組み合わせを求める人もいます。そのようなお客様に対してベストマッチの日本酒と料理の組み合わせを提供できれば、そのお客様は長く続く「贔屓客」になってくれることでしょう。また、日本酒に合わせた新しいメニューは、それがそのまま自店の特色ともなりえます。
このような「日本酒に合った料理」を提案~開発するためには、日本酒に関する深い知識が欠かせません。そしてその知識を学ぶためにあるのが、日本酒の資格なのです。
お店選びや料理選びに役立つ
「友達と食事に行くことになったが、お店選びを任された。せっかくなので良いところを選びたい」「デートのときに、相手の好みに合わせて料理とお酒を選べるようになりたい」という気持ちは、だれもが一度は持ったことのあるものではないでしょうか。
より良いお店や料理を選ぶ際には、「そのお店・料理の特徴」「個人の好み」を把握しておくことが重要です。この2つの要素に、自分の持っている知識を組み合わせることで、非常に満足度が高い食事の席を完成させられます。たとえば、「お酒は日本酒が好きで、料理はフレンチが好きだと言っていた。フレンチ料理と合わせる日本酒を提案しているお店を選ぼう」「華やかでフルーティーな日本酒が好きだと言っていたから、それによく合う白身魚の刺身を選ぼう」などのように、選び分けることができるのです。
そしてこのような「選定」を助けるものとして、資格取得の過程で学ぶ知識とテイスティング能力があります。
お土産やプレゼントの選定に役立つ
人にお酒を贈るのは、なかなか難しいものです。相手が日本酒に詳しい人ならば選ぶ側にも当然プレッシャーがかかりますし、相手が日本酒に詳しくない人ならば「日本酒っておいしいな」と思ってもらえるように良いものを選ばなければなりません。
日本酒の資格を取得しておくと、人に日本酒を贈るときに選びやすくなります。また、「日本酒の資格を持っている私が、あなたの好みに合うようにしっかり選びました」とお渡しすることで、相手もそのプレゼントに対して「これはきっと良いものだ」と信頼を持って受け取ることができるようになります。
まとめ
2024年現在、「日本酒ソムリエ」という資格は存在していません。しかし日本酒に関する資格は数多くあります。日本酒関係の資格はそれぞれ異なる個性を持っていますが、それを取得することで、日本酒に合った料理を開発~提案できるようになったり、品質管理の技術が身に着いたり、日本酒の販売促進を推進したりすることができるようになるという点は変わりありません。
飲食店を経営している人はもちろん、飲食店に勤務している人・勤務したいと考えている人や、日本酒に詳しくなりたいと考えている人は、この「日本酒の資格」の取得に挑戦してみるとよいでしょう。
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