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11月下旬になると、秋に仕込まれた新酒が続々とできあがってきます。この時期には「しぼりたて」や「新酒」といった名前が付いた日本酒を見かけることがあるでしょう。「しぼりたて」は、秋のお酒である「ひやおろし」とはまったく異なる味わいです。
この記事では、冬しか飲めないおすすめの銘柄と「しぼりたて」や「あらばしり」の特徴を解説します。おすすめの飲み方も紹介しますので、この時期ならではの日本酒を楽しんでみましょう。
Contents
おすすめの冬の日本酒10選
新酒の時期にしか飲めないおすすめの日本酒を10銘柄紹介します。
菊正宗 しぼりたて生貯蔵酒
蔵元 | 菊正宗酒造 |
造り | 普通酒・生貯蔵酒 |
産地 | 兵庫県 |
原料米 | 非公表 |
精米歩合 | 非公表 |
日本酒度 | +3.0 |
酸度 | 非公表 |
味わい | 淡麗でやや辛口の味わい |
香り | 大吟醸のような華やかな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「菊正宗 しぼりたて生貯蔵酒」は、しぼったばかりの日本酒を、火入れをせず生の状態で低温貯蔵したお酒です。パック詰めするときだけ火入れしています。普通酒でありながら、大吟醸のような香りとフレッシュな味わいが楽しめるのが魅力です。
白身魚の刺身やトマトを使った、さっぱりとした料理とよく合います。
真澄 純米吟醸 あらばしり 生原酒
蔵元 | 宮坂醸造 |
造り | 純米吟醸 |
産地 | 長野県 |
原料米 | 山恵錦、ひとごこち |
精米歩合 | 55% |
日本酒度 | 非公表 |
酸度 | 非公表 |
味わい | 豊かでイキイキとしたフレッシュな味わい |
香り | 洋梨やメロンを思わせるフルーティーな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒・ |
「真澄 純米吟醸 あらばしり 生原酒」は、あらばしりの日本酒を、加水せずにそのまま詰めたお酒です。酒蔵で働く蔵人だけしか味わえなかった、しぼったばかりの日本酒らしい味わいが感じられます。
原酒らしい飲みごたえのなかに、フレッシュな酸味とふくよかな甘さも感じられるため、少しこってりした料理と合わせたくなる力強さも持ち合わせた1本です。
春霞 純米 赤ラベル 新酒生
蔵元 | 栗林酒造店 |
造り | 純米酒 |
産地 | 秋田県 |
原料米 | 美郷錦 |
精米歩合 | 麹米:50%、掛米:60% |
日本酒度 | ±0 |
酸度 | 1.6 |
味わい | 清涼感が感じられるキレのある味わい |
香り | 和梨のようなみずみずしい甘さのある香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
春霞定番の純米酒「赤ラベル」の新酒です。和梨のような甘さのなかに、ミントを思わせるすっきりとした香りが感じられます。新酒らしいガス感も十分です。口に踏んだ瞬間のアタックはやわらかいものの、あとからじわっと来る苦辛さが全体を引き締めており、すっきりとした清涼感も感じられます。
食事と合わせることで、さらにおいしく感じられる1本です。
出羽桜 しぼりたて生原酒 出羽の里
蔵元 | 出羽桜酒造 |
造り | 純米酒 |
産地 | 山形県 |
原料米 | 出羽の里 |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +1.0 |
酸度 | 1.4 |
味わい | 雑味がなくクリアながら濃厚な味わい |
香り | やわらかくやさしい香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「出羽桜 しぼりたて生原酒 出羽の里」は特約店のみで流通するとても希少な新酒です。山形県の酒米「出羽の里」を使うことで、雑味のないクリアな味わいに仕上げました。加水をしていない原酒なので、アルコール度数は17~17.9度と高めです。
味わう際は、脂の乗ったブリやマグロ、牛ステーキなどしっかりした味の料理と合わせると、よりおいしさが引き立つでしょう。
宝剣 純米酒 新酒しぼりたて 生酒
蔵元 | 宝剣酒造 |
造り | 純米酒 |
産地 | 広島県 |
原料米 | 八反錦 |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +6.0 |
酸度 | 1.4 |
味わい | 甘みと酸味のバランスがよい味わい |
香り | メロンのニュアンスが感じられるおだやかな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「宝剣 純米酒 新酒しぼりたて 生酒」は、広島県産八反錦を使って仕込まれた日本酒です。生酒らしいフレッシュ感と、甘みと酸味のバランスのよさが感じられます。含まれている炭酸ガスはそこまで多くないので、口当たりはとてもやわらかです。
のどごし・余韻ともに適度で、どんどん盃が進んでしまうでしょう。
八海山 しぼりたて原酒 越後で候
蔵元 | 八海醸造 |
造り | 本醸造 |
産地 | 新潟県 |
原料米 | 山田錦、五百万石ほか |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +4.0 |
酸度 | 1.4 |
味わい | 原酒らしい飲みごたえのある味わい |
香り | 新酒ならではのさわやかな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒・常温 |
「八海山 しぼりたて原酒 越後で候」は水を加えていない濃厚な味わいが楽しめる原酒です。新酒らしいフレッシュな味わいでありながら、しっかりとした旨みも感じられるため、ロックや加水して飲むのもよいでしょう。
後味がすっきりしているので、あん肝やブリなどコクのある食材とよく合います。
上川大雪 特別純米 初しぼり生酒
蔵元 | 上川大雪酒造 |
造り | 特別純米酒 |
産地 | 北海道 |
原料米 | 彗星 |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | 非公表 |
酸度 | 非公表 |
味わい | みずみずしい甘みを感じるフレッシュな味わい |
香り | すっきりとした穏やかな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「上川大雪 特別純米 初しぼり生酒」は、北海道の酒米「彗星」を使って造られた新酒です。「彗星」は、タンパク質の量が少ないため、淡麗な日本酒を仕込むのに適しています。こちらの新酒も例外ではなく、フレッシュで軽やかな味わいです。
ジンギスカンや鮭のちゃんちゃん焼き、ルイベなど、北海道の味覚と一緒に味わってみてください。
一ノ蔵 特別純米生原酒しぼりたて
蔵元 | 一ノ蔵 |
造り | 特別純米酒 |
産地 | 宮城県 |
原料米 | ササニシキ |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | -6.0〜-4.0 |
酸度 | 非公表 |
味わい | ササニシキらしい上品な甘みが感じられる味わい |
香り | 生酒ならではの清々しい香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「一ノ蔵 特別純米生原酒しぼりたて」は、食用米のササニシキを使って造られた日本酒です。ササニシキらしい、雑味のないクリアな甘みが感じられます。
フレッシュな香りがあるので、カキ鍋やセリ鍋といった鍋料理のほか、寿司やブリの刺身、ホタテのバター焼きなどと合わせると、どちらのおいしさもより引き立ちます。
手取川 純米生原酒 しぼりたて
蔵元 | 吉田酒造店 |
造り | 純米酒 |
産地 | 石川県 |
原料米 | 石川門 |
精米歩合 | 60% |
日本酒度 | -1.0 |
酸度 | 1.8 |
味わい | フルーティーな甘みが感じられる味わい |
香り | みずみずしくジューシーな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「手取川 純米生原酒 しぼりたて」は、石川県の酒米「石川門」だけを使って造られた新酒です。みずみずしくジューシーな味わいに、かすかなガス感が加わって、とてもフレッシュな味わいが楽しめます。よく冷やして、ワイングラスで飲むのがおすすめです。
湯豆腐やイカ・エビの刺身、白子ポン酢など淡白な味わいのものとよく合います。
加茂錦 荷札酒 黄水仙 しぼりたて新酒
蔵元 | 加茂錦酒造 |
造り | 純米大吟醸 |
産地 | 新潟県 |
原料米 | 山田錦、雄町 |
精米歩合 | 50% |
日本酒度 | 非公表 |
酸度 | 非公表 |
味わい | キレがあるさっぱりとした味わい |
香り | 大吟醸らしい華やかな香り |
おすすめの飲み方 | 冷酒 |
「加茂錦 荷札酒 黄水仙 しぼりたて新酒」は、雄町と山田錦を使って醸された贅沢な日本酒です。アルコール度数が13%と一般的な日本酒より低いため、軽やかに飲み進められます。華やかな香りとふくらみのある旨みも持ち合わせているので「低アルコール酒は物足りない」と感じている人にこそおすすめしたい1本です。
濃い味わいの煮物から、淡白な味の湯豆腐や刺身まで合わせる料理を選びません。
冬の日本酒の特徴は?|冬は新酒の季節
冬の日本酒は、華やかな香りとさっぱりとした味わいが楽しめるものが多いとされています。なかには、サイダーのようなガス感が味わえるものもあり、フレッシュな甘酸っぱさが特徴です。
ピチピチと口の中で弾けるガス感の正体は、発酵する過程でできた炭酸ガスです。新酒はできあがってからすぐ出荷されるため、炭酸ガスが最も多く含まれています。そのため、開栓時にキャップが飛んだり、噴きこぼれたりする銘柄も少なくありません。
新酒に含まれている炭酸ガスは、火入れをしたり熟成させたりすることで徐々に減っていくため、落ち着いた口当たりに変わっていきます。
冬の日本酒「しぼりたて」とは?「あらばしり」「おりがらみ」との違いも解説
冬の日本酒には「しぼりたて」や「初しぼり」「あらばしり」「おりがらみ」と名前が付いたものが多くあります。
種類 | 特徴 |
しぼりたて | 搾って時間を置かずに瓶詰した日本酒 |
初しぼり | 醸造年度に初めて仕込んだ日本酒 |
あらばしり | もろみを搾ったときに出てきた最初の部分 |
おりがらみ | 少量の澱(おり)を含み、薄く濁った日本酒 |
それぞれの特徴を知っておくと、より自分好みの日本酒が選びやすくなるでしょう。
「しぼりたて」とは
「しぼりたて」は、もろみを搾ってできた日本酒を、そのまま瓶に詰めたものを指します。炭酸ガスも十分に残っているため、ピチピチとしたガス感と甘酸っぱくフレッシュな味わいを楽しめるのが魅力です。
酵母が瓶の中でまだ活きているため、開栓すると日ごとに味わいが変わっていきます。
「しぼりたて」と「初しぼり」の違いは?
「しぼりたて」と「初しぼり」の違いは、仕込んだ時期です。醸造年度(BY:ブルワリーイヤー)に初めて仕込んだ日本酒を搾ったものを「初しぼり」といいます。どちらも搾ったばかりのフレッシュな日本酒ですが「初しぼり」の名前が付けられるのは1回だけです。
「しぼりたて」の場合、搾って時間を置かずに瓶詰したものならどの時期でも使えます。
「あらばしり」とは?
「あらばしり」は、もろみを搾ったときに出てきた最初の部分を指します。ピリッとした刺激がある、とびきりフレッシュな味わいが特徴です。日本酒は、搾って出てくるタイミングでも味が変わります。
「あらばしり」の次に出てくるのが、味のバランスがよい「中取り」です。最後に圧力をかけて搾りきる時に出てくるものを「責め」といい、濃厚で複雑な味わいが特徴です。
「おりがらみ」とは?
「おりがらみ」とは、少しの「澱(おり)」が含まれた日本酒です。澱とは、お酒を搾った際に混じる浮遊物で、通常は「澱びき」という作業で取り除きます。しかし「おりがらみ」はあえて澱を少し残して瓶詰するため、少し濁った色になります。フレッシュな味わいに澱由来のコクが加わるため、澱が取り除かれた日本酒に比べると濃厚な味わいです。
「おりがらみ」の日本酒は炭酸で割ってもおいしく飲めるほか、あえて澱を沈殿させて上澄みとにごり部分の飲み比べをするのもよいでしょう。
冬の日本酒「しぼりたて」の味わい方
ここからは「しぼりたて」の日本酒のおすすめの味わい方を解説します。
基本的には冷酒や常温で
「しぼりたて」の魅力は、華やかな香りやフレッシュな味わいにあります。燗をつけるとフレッシュ感が失われるだけでなく、味も変わってしまうので、基本的に冷酒や常温で飲むのがおすすめです。
飲む際の酒器は「しぼりたて」の繊細な味わいを感じやすいワイングラスやガラスのグラスなどがおすすめです。
季節のおつまみに合わせて
「しぼりたて」は、さっぱりとしたフレッシュな味わいの日本酒なので、冬に旬を迎えるブリやマグロといった脂乗りのよい魚と合わせるのがおすすめです。刺身のように素材の持ち味を生かした料理と合わせると、互いのおいしさが引き立ちます。
よく冷やした「しぼりたて」は、しゃぶしゃぶや水炊きのような鍋料理ともよく合います。少しこってりした料理も「しぼりたて」と一緒なら、飽きることなく食べられるでしょう。
少しの期間保管して
「しぼりたて」の日本酒は、瓶の中でも酵母が活きているため、時間と共にどんどん味わいが変わっていきます。少しガス感を抑えたい・まろやかな味に変化させたいなら、冷蔵庫でしばらく保管してから飲むのもよい方法です。
和らぎ水と一緒に
「しぼりたて」の日本酒は、さっぱりとしたフレッシュな味わいで、日本酒が苦手な人でも飲みやすいとされています。そのため、つい日本酒ばかり飲んでしまいがちです。
しかし日本酒ばかり飲んでいると、悪酔い・二日酔いしやすくなるので、日本酒を1杯飲んだら水も1杯飲むなど、同量の和らぎ水も飲むよう心がけてください。
冬の日本酒に関するよくある質問【Q&A】
冬の日本酒に関するよくある質問をまとめました。冬に日本酒を楽しむ際の参考にしてみてください。
日本酒初心者でまだ自分の好みがはっきりしていない場合におすすめなのは?
日本酒初心者でまだ自分の好みがはっきりしていない場合は、飲み比べセットや利き酒セットで好みの傾向を探ってみましょう。一般的には、純米吟醸や純米大吟醸、生酒などが初心者でも飲みやすいとされていますが、好みの味わいは人それぞれです。初心者でも、山廃や生酛のようなパンチのある日本酒が好きな人もいます。
飲み比べセットや利き酒セットで少しずつ日本酒を飲み比べてみると、自分の好きな味の傾向がつかめてくるでしょう。
日本酒の「甘口」「辛口」とは?
日本酒の甘口・辛口は日本酒度で表され、甘口になればなるほどマイナスの値が大きくなり、辛口になればなるほどプラスの値が大きくなります。甘口の日本酒は、飲みこんだ後も余韻が長く続くのが特徴です。一方、辛口の日本酒はキレがあり、さっぱりとした味わいです。
実際に日本酒を飲んだときに感じる甘さやキレのよさは、日本酒度だけでは決まりません。アミノ酸度や酸度も関わってくるので、辛口でも飲んだ瞬間甘さを感じる日本酒や、甘口でもさっぱりとしている日本酒もあります。
「しぼりたて」のおすすめの飲み方は?
フレッシュな味わいの「しぼりたて」は、しっかり冷やして飲むのがおすすめです。そのまま日本酒を主役に味わってもよいですが、旬の食材や鍋料理と合わせるとさらにおいしさが引き立ちます。しぼりたての「原酒」なら、ロックや割り水で少しアルコール度数を薄めると違ったおいしさが楽しめるでしょう。
「おりがらみ」や「にごり」のしぼりたては、炭酸割りにするのもおすすめです。酸味がある「活性にごり」のしぼりたては、乳酸菌飲料や飲むヨーグルトで割ってもおいしく飲めます。
まとめ
晩秋から冬にかけては続々と新酒が登場します。しぼりたての日本酒は華やかな香りとフレッシュな味わいが特徴です。ぜひ冷やして、旬の食材や鍋料理とあわせて楽しんでみましょう。
「しぼりたて」のほかに「あらばしり」や「おりがらみ」といった新酒が発売されることもあります。ぜひそちらもチェックしながら、自分好みの日本酒を探してみてください。
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