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愛知の高級日本酒として知られる「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」。近ごろはメディアにも登場しているので、名前を聞く機会も多くなりました。どのようなお酒なのか、気になる方も多いことでしょう。今回は醸し人九平次の特徴や種類、購入方法まで紹介します。
Contents
「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」とは
「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」は、1647年に創業した愛知県の酒蔵「萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)」の一ブランドです。愛知は古くから酒造りをしていた歴史があり、現在も良質なお米と清流、気候を活かした酒造りが盛んとなっています。
そのような日本有数の酒蔵が軒を連ねる愛知で、醸し人九平次が誕生したのは1997年のこと。酒造りの根本からこだわった15代目オーナーは、米作りの土台となる田んぼに注目します。酒米の王様と称される山田錦の原産地(兵庫県)へ赴き、育てたお米で作った醸し人九平次は、苦味・渋味・酸味が備わった絶妙な味わいが特徴。
2006年には渡仏も果たし、日本酒の正しい認識を伝えるためパリで積極的に活動しています。エレガントな酸味が特徴の醸し人九平次は、今や三ツ星レストランにも提供される人気ぶりです。
萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)について
愛知県の老舗酒蔵としても有名な「萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)」では、当主は代々「九平治(くへいじ)」の名を受け継いでいます。15代目オーナーが酒蔵を継いだ当初は、工場での大量生産がメインの酒造りでした。一方「量よりも質」を意識した15代目の志により、現在の萬乗醸造の基礎が培われ始めました。
職人魂を持つオーナーが着眼したのは、酒造りの根本となる米作り。日本酒もワイン同様に土壌と気候が大きく影響することに気づき、ワイン造りのドメーヌ(ブドウ栽培から醸造、熟成を経て瓶詰までを行う生産者)のような田んぼの土壌造りから始まり、行きついたのは兵庫県黒田庄町(くろだしょうちょう)だったのです。
自然な奥行きのある酒造りを目指し、2016年からはフランス・ブルゴーニュ地方でワイン造りも開始します。これまで日本酒が不評だったヨーロッパにて萬乗醸造の日本酒を広めていくと、フランスの料理人たちも声をそろえて絶賛。今や国内外でも評価の高い、酒蔵の一つとなっています。
醸し人九平次のラインナップ
醸し人九平次には、以下6つの種類があります。
- Origine(オリジン)
- Collection(コレクション)
- Désir et Sauvage(デジール・エ・ソバージュ)
- Découverte(デクーベルト)
- La saison(ラ・セゾン)
- Flagship(フラッグシップ)
以下、それぞれについて詳しく見てみましょう。
醸し人九平次 Origine
「醸し人九平次 Origine(オリジン)」は、原料となるお米に注目した日本酒です。お米の産地や精米歩合を変えて造られています。
以下、その2種類をご紹介します。
【醸し人九平次 Origine】黒田庄に生まれて、
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 口に含んだ瞬間は滑らか、濃醇な香りの後に旨味、そして繊細な苦味 |
香り | 濃醇な香り、メロン、洋ナシ、ライチ、もぎたてのフレッシュな印象 |
お米一粒一粒を感じるような、濃密な香りと味わいを堪能できます。旨味・苦味が酸味によって整えられバランスの取れた味わい。お酒単体よりも、料理と一緒に味わうのがおすすめです。
【醸し人九平次 Origine】協田(きょうでん)
原料米 | 雄町(おまち) |
精米歩合 | 40% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 柑橘の皮を絞ったような苦味と旨味 |
香り | 若草のような青い香り、ボタニカルな香り、南国果実のニュアンス |
原料米となる雄町は岡山県産のもので、中でもブランド米として名高い赤磐雄町(あかいわおまち)を使用しています。全体的にすっきりとしたキレのある味わいが特徴で、開けたてのフレッシュ感もいいですが、お料理と合わせる際には開栓してから少し時間がたったものがおすすめです。
醸し人九平次 Collection
Collection(コレクション)は、「気品」と「品格」にこだわりぬいた逸品です。原料と製法に注目し、優雅に踊るワルツをイメージして造られています。
以下、その3種類をご紹介します。
【醸し人九平次 Collection 】別誂(べつあつらえ)
引用元:公式 醸し人九平次 別誂 2022 1.8L オリジナル化粧箱入り
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 35% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 口に含むと旨味からはじまり、上品な酸味、繊細な苦味 |
香り | 洋ナシ・メロンのような果実香、ほのかなスパイス |
別誂(べつあつらえ)は、その名のとおり特別に造られたものを意味しています。山田錦の持つ可能性が最大限に引き出され、エレガントな味わいと気品が感じられる逸品です。
【醸し人九平次 Collection 】彼の地(かのち)
引用元:公式 醸し人九平次 彼の地 2021 オリジナル化粧箱入り
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 40% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 口に含んだ瞬間のやわらかな味わい、余韻の残る酸味 |
香り | 洋ナシ・イチゴのフレッシュな果実香、ほのかなスパイスとボタニカルな香り |
醸し人九平次の中でも繊細な逸品のため、保管の際には15度が理想です。時間が経つにつれて、口に含んだ瞬間の味わいや旨味・酸味も異なるため、お米の収穫年によって味わいが違うのもの特徴の一つ。料理と合わせると、より一層バランスの取れた味わいが楽しめます。
【醸し人九平次 Collection 】human(ヒューマン)
引用元:公式 醸し人九平次 human(ヒューマン)2022 720ml オリジナル化粧箱入り
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 45% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 旨味と共に心地よい苦味、繊細でなめらなか味わいと柔らかさ |
香り | もぎたてのグレープフルーツなどの柑橘、リンゴ、ホワイトペッパーの香り |
human(ヒューマン)はスワリング(グラスを回すこと)で、より一層熟したメロンやボタニカルの香りを楽しむことができる一品です。全体的に抑揚のある味わいのため、器やたしなむ時間によっても味わいが異なり、長時間かけても楽しめます。
醸し人九平次 Désir et Sauvage
Désir et Sauvage(デジール・エ・ソバージュ)は、お米の品種だけを変えて精米歩合・醸造方法は同様に施した逸品です。品種の違いから五味の立体感が感じられます。
以下、その2種類をご紹介します。
【醸し人九平次 Désir et Sauvage】山田錦 EAU DU DÉSIR(オウ・ド・デジール)
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 香りからは想像できない苦味、旨味、酸味が折り重なる味わい |
香り | 熟す前のメロン、桃、そしてクミンのスパイスの香 |
「希望の水」を意味するEAU DU DÉSIR(オウ・ド・デジール)は、お米の種類によって味わいが異なる一品です。使用する山田錦は晩生(おくて)のもので、味わい深くビロードのような滑らかさが特徴となっています。
2010年にフランスソムリエコンクールで優勝を勝ち取ったベンジャミン・ロフェ氏によれば、「上品で花をイメージした香と、ワインでは出せない味わいがある」と称賛されています。
【醸し人九平次 Désir et Sauvage】雄町 SAUVAGE(ソバージュ)
原料米 | 雄町 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | フレッシュな果実の旨味、柑橘の皮を噛んだような苦味 |
香り | 穏やかで青草や穀物などのニュアンス、ボタニカルの香 |
山田錦 EAU DU DÉSIRと比較すると、雄町SAUVAGEは対比的な味わいを堪能できます。雄町は大粒のお米のため野生的で男性的な味わいが酒質にもあらわれ、植物本来の生命体を感じるような香りと味わいがダイレクトに伝わる一品です。
醸し人九平次 Découverte
醸し人九平次 Découverte(デクーベルト)は、ラベルに「K」の文字をあしらっています。「K」は「醸し人のK」であり、「九平次のK」、また「黒田庄のK」を意味し、軽やかな前菜などの料理と合う一品です。
以下、その2種類をご紹介します。
【醸し人九平次 Découverte】rendez-vous(ランデ・ブー)
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度 | 14度 |
味わい | 軽やかな酸味 |
香り | ライチ、パッションフルーツ、バナナ、ライムのようなトロピカルでエキゾチックな香り |
「rendez-vous(ランデブー)」は、華やかな香りと酸味が大きな特徴です。五味の調和が感じられる逸品で、軽やかさの中にも立体感があります。前菜とのペアリングが特におすすめです。
【醸し人九平次 Découverte】voyage(ボヤージ)
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 55% |
アルコール度 | 14度 |
味わい | 厚みのある甘味・酸味の中に、かすかな苦味 |
香り | 桜桃・洋ナシ・レモンバーム・白コショウ |
「voyage(ボヤージ)」は、rendez-vous(ランデ・ブー)と比較すると奥深い味わいとボリューム感があります。熟成した果実感と、柔らかな余韻が続くのも特徴です。
醸し人九平次 La saison
「La sasion(ラ・セゾン)」は、寒露に収穫したお米を使用するため季節の移り変わりが感じられる逸品です。
以下、その2種類をご紹介します。
【醸し人九平次 La saison】うすにごり
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 非公開 |
アルコール度 | 16度 |
味わい | にごりならではの甘味、酸味を基軸とした味わい、かすかな苦味 |
香り | お米の豊かな風味 |
「うすにごり」は生酒のため、冬季限定で完全受注生産となる逸品です。例年2月中旬にリリースされる限定販売のため、入手困難なひと品。スペックは非公開となり、生酒でありながら爽やかさも感じられ、料理とのペアリングがおすすめです。
【醸し人九平次 La saison】火と月の間に 山田錦
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 50% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 旨味と酸味が絶妙なバランス |
香り | 穏やかでエレガントな吟醸香 |
「火と月の間に 山田錦」は、40度前後に温めて飲む逸品です。温度帯が変わることで味わいも変化するため、好みの温度帯を見つけるのも楽しみの一つ。山田錦特有のシルキーでフローラルな旨味が感じられます。
醸し人九平次 Flagship
「醸し人九平次 Flagship(フラッグシップ)」として有名なのが、「彼の岸(かのきし)」と呼ばれるビンテージもの。醸し人九平次の中でも、最高級となっています。
以下、「彼の岸」をご紹介します。
【醸し人九平次Flagship 】彼の岸 2021
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 30% |
アルコール度 | 16度 |
味わい | 滑らかでエレガントな口当たり、旨味 |
香り | マンダリンオレンジ、金柑、レモンピールのアクセントの他、洋ナシ、ユリの花のニュアンス |
「彼の岸(かのひ)」は高級酒に分類され、ワイングラスで味わうとその香りがふんだんに感じられる逸品です。料理との相性により楽しみ方も増え、開栓してから時間の経過と共にその味わいも変化してきます。保管には冷蔵がおすすめで、熟成の経過も楽しめる日本酒です。
醸し人九平次のおすすめ銘柄3選
醸し人九平次について6種類の味わいをご紹介しましたが、初心者の方にはどれを味わうべきか悩むところです。そこでおすすめ銘柄3選を、ご紹介しましょう
【醸し人九平次 Désir et Sauvage】山田錦 EAU DU DÉSIR
「山田錦 EAU DU DÉSIR」は原料米に「酒米の王様」と称される山田錦を使用しているため、萬乗醸造を代表する味わいとなっています。飽きのこない旨味とフルーティーさが特徴で、女性でも飲みやすいおすすめの逸品。香りと旨味が存分に感じられ、醸し人九平次の中でも人気を誇るボトルです。
【醸し人九平次 Collection 】human
「human」はあらゆるジャンルでの境界を感じさせない日本酒をテーマに造られたため、これまでの日本酒の概念を大きく覆すような味わいが楽しめます。フルーツの上品な香りとかすかな苦味はとても心地よく、さまざまなシーンで活躍する逸品。濃厚なのに爽やかで、バランスの取れた味わいを堪能でき、後味が軽いのも特徴です。
【醸し人九平次 Collection 】別誂
「別誂」は山田錦35%の純米大吟醸で、爽やかな香りと口の中に広がる甘味と旨味が備わった一品です。特別に造られたボトルだけあり、香り・味わい共に重厚感があります。どんな料理とも合わせやすく、バランスの取れた逸品です。
醸し人九平次の購入方法
醸し人九平次の購入方法は、通販の利用が便利です。ただし、大手通販サイトでも正規価格で購入できないことが多々あるため、注意が必要です。今回は公式の萬乗醸造をはじめ、おすすめの通販サイトをご紹介します。
九平治オンラインショップ【La CAVE(ラ・カーブ)】(公式)
また、以下実店舗での購入も可能です。
醸し人九平次に関するよくある質問【Q&A】
「醸し人九平次」について、よくあるQ&Aをいくつかまとめてみました。
醸し人九平次は何県のお酒ですか?
「醸し人九平次」は、愛知県に酒蔵を構える萬乗醸造(ばんじょうじょうぞう)の一ブランドです。愛知県は昔から酒造りが盛んな地域として知られ、良質なお米と清流、また米作りに適した気候は、日本の歴史書の記紀にも記されています。
醸し人九平次の価格帯は?
「醸し人九平次」の価格帯は、5,500円前後です。ただし、銘柄によって価格が異なります。中でも購入しやすいhuman(ヒューマン)は3,300円、最も高価となるのがLa Collectionの山田錦で33,000円となっています。
醸し人九平次 の度数はどのくらいですか?
醸し人九平次のほとんどがアルコール度数16度となっています。そのうち前菜などの料理にあうDécouverte(デクーベルト)は14度。一般的な日本酒はアルコール度数15度になっていますが、16度にするのも萬乗醸造のこだわりの一つです。
まとめ
使用する原料米から、田んぼの土壌にまでこだわった醸し人九平次。愛知県内では高級酒として知られていますが、国内外でも高い評判を得ています。日本にいながら醸し人九平次を味わえないのはもったいないので、手始めにおすすめのものからチョイスしてみるのもおすすめです。日本酒が好きな方もそうでない方もこの逸品で概念が変わり、日本酒という新しい世界に酔いしれることでしょう。
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