Public Relations by forbul
蕎麦を食べながら粋に日本酒を楽しんでみたいという方もいるでしょう。しかし「蕎麦とどのような日本酒を合わせれば良いのかわからない」「蕎麦屋で日本酒を楽しむ際のマナーがわからない」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、蕎麦に合う日本酒や蕎麦屋ならではの日本酒の楽しみ方を紹介します。香り高い蕎麦を肴に、粋に日本酒を楽しんでみましょう。
Contents
蕎麦と一緒に楽しむおすすめの日本酒7選
蕎麦と一緒に楽しむ日本酒は、すっきりとした味わいのものがおすすめです。中でも特におすすめの7銘柄を紹介します。
久保田 千寿 純米吟醸
蔵元 | 朝日酒造 |
造り | 純米吟醸 |
産地 | 新潟県 |
原料米 | 五百万石 |
精米歩合 | 麹米50%/ 掛米55% |
日本酒度 | +3.0 |
酸度 | 1.3 |
味わい | 雑味のないすっきりとした味わい |
香り | 純米吟醸らしい穏やかな香り |
おすすめの飲み方 | しっかり冷やして・常温・ぬる燗 |
「久保田 千寿 純米吟醸」は食事とのペアリングを考えて造られた純米吟醸です。香り立ちが穏やかなので、蕎麦の香りを打ち消してしまうことがありません。口当たりはやわらかいですが、キレがあります。冷酒では程よい酸味とキレが楽しめる一方、燗酒にすると酸味とコクのある余韻が感じられるので、おつまみに合わせて飲む温度を変えるのもよいでしょう。
眞名鶴 純米大吟醸酒蔵魂さかほまれ
蔵元 | 真名鶴酒造 |
造り | 純米大吟醸 |
産地 | 福井県 |
原料米 | さかほまれ |
精米歩合 | 50% |
日本酒度 | -3 |
酸度 | 1.9 |
味わい | まろやかな旨みと瑞々しさが感じられる味わい |
香り | フルーティーで華やかな香り |
おすすめの飲み方 | 常温 |
福井県が開発した酒米「さかほまれ」と、県開発酵母を使って造られた日本酒です。
まろやかな旨みとフレッシュな酸味、華やかな香りが感じられるため、香り高いきのこの天ぷらなどと相性が良いでしょう。蕎麦と合わせるなら、福井名物の「おろしそば」がおすすめです。
鳥浜純米大吟醸
蔵元 | 鳥浜酒造 |
造り | 純米大吟醸 |
産地 | 福井県 |
原料米 | さかほまれ |
精米歩合 | 40% |
日本酒度 | -2 |
酸度 | – |
味わい | 甘く軽やかな味わい |
香り | 甘くフルーティーな香り |
おすすめの飲み方 | しっかり冷やして |
福井県の酒米「さかほまれ」を使用して造られた純米大吟醸です。甘口の日本酒ですが、キレがあるすっきりとした飲み口で、甘さがいつまでも口の中に残りません。刺身や煮物、醤油で味付けされた料理とよく合うので、鴨抜き(鴨蕎麦の蕎麦抜き)などと相性が良いでしょう。
出羽桜 誠醸辛口
蔵元 | 出羽桜酒造 |
造り | 普通酒 |
産地 | 山形県 |
原料米 | 国産米 |
精米歩合 | 65% |
日本酒度 | +7 |
酸度 | 1.2 |
味わい | キレのある辛口の味わい |
香り | さっぱりとした爽快な香り |
おすすめの飲み方 | 常温・ぬる燗・上燗 |
誠心込めて醸す「誠醸」の名前を冠した普通酒です。普通酒ではありますが、特定名称酒に劣らない味わいで、地元山形の飲食店を中心に人気があります。口当たりはやわらかいながらも、あとからじわじわと辛さが出てきて、程よい余韻を残しながら徐々にフェードアウトしていくのが特徴です。
食材本来の味わいを引き出してくれるので、蕎麦はもちろん板わさなどとあわせて味わってみてください。
真澄 純米吟醸 生一本
蔵元 | 宮坂醸造 |
造り | 純米吟醸 |
産地 | 長野県 |
原料米 | 長野県産 美山錦
長野県産 山恵錦 兵庫県加東市山国地区産 山田錦 長野県産 ひとごこち |
精米歩合 | 55% |
日本酒度 | +4 |
酸度 | 1.3 |
味わい | キレのあるドライな味わい |
香り | フルーツを思わせるみずみずしい香り |
おすすめの飲み方 | しっかり冷やして・常温 |
銘柄を代表する辛口の純米吟醸酒です。リンゴや桃を思わせるフルーティーな香りで、口に含むとやわらかな甘みが広がります。徐々に苦みと辛さが顔を出すため、味が中だるみせず最後まですっきりと味わえるでしょう。
蕎麦前で楽しむなら、すだちなどを絞った板わさなどさっぱりとしたおつまみと合わせるのがおすすめです。
雨後の月 真粋 大吟醸
蔵元 | 相原酒造 |
造り | 大吟醸 |
産地 | 広島県 |
原料米 | 山田錦 |
精米歩合 | 35% |
日本酒度 | +5 |
酸度 | 1.2 |
味わい | 角のない深みのある味わい |
香り | フルーツを思わせるみずみずしい香り |
おすすめの飲み方 | しっかり冷やして |
兵庫県特A山田錦の最高峰秋津産の特上等だけを使って作られたこだわりの大吟醸です。梨や苺を思わせるみずみずしい香りと、コクのある旨みが感じられます。
蕎麦前で楽しむなら、素材本来の味わいが楽しめる板わさやだし巻き卵などと合わせるのがおすすめです。もちろん、冷たい蕎麦ともよく合います。
あづまみね 純米吟醸 美山錦
蔵元 | 吾妻嶺酒造 |
造り | 純米吟醸 |
産地 | 岩手県 |
原料米 | 美山錦 |
精米歩合 | 50% |
日本酒度 | -2 |
酸度 | 1.7 |
味わい | シャープなキレが感じられるドライな味わい |
香り | 柑橘類を思わせるフレッシュな香り |
おすすめの飲み方 | しっかり冷やして・常温・ぬる燗 |
柑橘類を思わせる香りと控えめな甘さが特徴の日本酒です。日本酒度だけ見れば甘口に分類されますが、酸度が高いためキレがあり、口の中に甘さが残りません。美山錦を使っているため米の旨みも十分に感じられ、全体的なバランスの良さが光ります。
冷酒・常温・ぬる燗どの飲み方でも安定したおいしさです。季節や料理に合わせて飲む温度を変えて楽しんでみてください。
蕎麦と日本酒の深いつながり
蕎麦と日本酒が一緒に楽しまれるようになったのは、江戸時代といわれています。当時の江戸の人々は「宵越しの銭は持たない」という言葉に代表されるように、気前よく遊ぶのを粋としていました。銭湯で汗を流したら、蕎麦屋で食事と酒を楽しむのが人気のスタイルだったようです。当時は蕎麦の作り置きができなかったため、麺が茹であがるまで日本酒を飲みながら待つことが多く、「蕎麦前」と呼ばれました。
なぜ庶民がこぞって蕎麦屋で食事と酒を楽しむようになったのかというと、蕎麦屋は一般的な料理屋に比べて安価だったからだといわれています。
江戸時代になると日本酒の醸造技術も発達し、品質の高い酒を安く・広く提供できるようになりました。そのため庶民の稼ぎでも気兼ねなくおいしい料理と日本酒が楽しめるようになり、蕎麦屋は今でいうファミリーレストランのような存在になったと考えられています。
蕎麦とあわせて日本酒を楽しむ方法
ここからは、蕎麦とあわせて日本酒を楽しむ方法を紹介します。少し工夫することで蕎麦と日本酒両方の味と香りをさらに楽しめますので、試してみてください。
蕎麦が提供されるまでの「蕎麦前」で楽しむ
蕎麦が提供されるまでの時間を「蕎麦前」といいます。蕎麦と日本酒を一緒に楽しむ際は、蕎麦前におつまみと合わせて日本酒を楽しむのが一般的です。
蕎麦前に日本酒が楽しまれるようになったのは、江戸時代です。当時は麺の作り置きができなかったため、注文が入ってから蕎麦を打っていました。提供まで時間がかかったことから、待っている間に日本酒で軽く小腹を満たすようになったとされています。
蕎麦前ではあっさりしたおつまみから食べ始め、徐々にこってりしたものに移っていくと良いでしょう。夏場はしっかり冷やした冷酒、冬場は体の芯から温まる燗酒など、季節で飲み方を変えればさらに蕎麦前の一杯が楽しめます。
蕎麦つゆで日本酒を割る
蕎麦を食べ終わったら、蕎麦つゆを少し日本酒に加えて、出汁割りにするのもおすすめです。そばつゆには、かつおや昆布などのだしの旨みが溶け込んでいます。そこに日本酒を合わせると、味の基本である五味(旨味・甘味・酸味・苦味・塩味)が揃うため、それぞれ単体で味わったときには感じられない複雑な味わいが楽しめるのです。
そのままでも十分おいしい出汁割りですが、天かすや生姜、わさび、七味などを加えると一味違う大人の楽しみ方ができます。出汁割りの割合は好みによりますが、日本酒と蕎麦つゆを1:3で割るのが基本とされています。
蕎麦前で日本酒を楽しむ時におすすめのおつまみ3選
蕎麦前で日本酒を楽しむ際は、次のおつまみがおすすめです。
だし巻き卵
だしと卵を合わせて焼いただし巻き卵は、蕎麦屋のこだわりが詰まった一品です。蕎麦がおいしい蕎麦屋ほどだしにもこだわっているので、だし巻き卵もおいしいといわれています。だしと日本酒は相性が良く、一緒に楽しむことでさらに味わい深くなるため、だし巻き卵は蕎麦前に特におすすめです。
板わさ
板わさは、切ったかまぼこにわさびを添えた、シンプルなおつまみです。練り物らしい強い旨みは、冷酒・燗酒どちらの日本酒によく合います。かまぼこには20種類以上のアミノ酸が含まれており、それらがアルコールの分解を助けてくれるため、理想的な組み合わせです。
天ぷら
さっくりと揚がった天ぷらも、蕎麦前におすすめのおつまみです。蕎麦の直前に食べることで、蕎麦の味が一層おいしく感じられます。天ぷら蕎麦を頼む際は、ぜひ「天抜き」で頼んでみましょう。「抜き」とは、天ぷら蕎麦や鴨蕎麦の蕎麦を抜いたもので、具材とかけつゆだけが先に提供されます。
天抜きで頼めば、蕎麦が伸びるのを心配することなく、かけつゆと揚げたての天ぷらをゆったり楽しめるでしょう。
蕎麦と日本酒に関するよくある質問【Q&A】
蕎麦と日本酒に関するよくある質問をまとめました。蕎麦屋で日本酒を楽しむ際の参考にしてみてください。
蕎麦前でおつまみは何品程度頼むべきですか?
蕎麦屋のメインは蕎麦であることを考えると、蕎麦前は1~2品に留めておくと良いでしょう。蕎麦前はあくまでも軽く日本酒を楽しむのが粋です。
蕎麦屋でよく聞く「〇〇抜き」とは?
「〇〇抜き」とは、天ぷら蕎麦や鴨蕎麦から蕎麦を抜いたものです。具材とかけつゆだけが先に提供されます。蕎麦前ですべて食べてしまっても良いですが、半分ほど残しておいて、締めの蕎麦と一緒に食べるのもおすすめです。
蕎麦屋で「粋」に飲むためには長居は無用?
蕎麦屋で粋に飲みたいなら、長居は無用です。蕎麦屋は居酒屋ではないので、ふらりと立ち寄ってサッと飲んですぐ帰るのが粋とされています。酔いつぶれるまで飲むのは、ご法度です。
まとめ
庶民の間で蕎麦と日本酒が一緒に楽しまれるようになったのは江戸時代のことです。江戸庶民にとって、気軽に立ち寄っておいしい料理と日本酒が楽しめる蕎麦屋は、非常に粋な場所でした。蕎麦屋で日本酒と蕎麦を楽しむというと、少し難しく感じられるかもしれませんが、まずは気軽に蕎麦屋の暖簾をくぐってみましょう。
蕎麦の前におつまみを1~2品と日本酒を頼み、蕎麦を食べたらサッと店を出る……蕎麦屋で日本酒を楽しむなら、これだけで十分です。
あまり難しく考えず、近くの蕎麦屋で蕎麦前を楽しんでみましょう。
コメントを残す